アリババグループは5月22日、日本ブランドの中国越境EC進出・販売支援サービス「Japan MD center」の2周年を記念したJapan MD center annual conferenceを東京・日本橋で開催した。アリババグループCEOのダニエル・チャン(張勇)氏も来日し、「アリババグループが提供するECとオフラインを統合した新小売(New Retail)の仕組みを日本企業に使っていただき、中国の消費者に高品質な日本製品をこれまで以上に届けたい」と語った。

 アリババグループの2017年のEC市場での売上規模は7680億ドル(約85兆円)に達し、年間利用者数は5億5200万人を数える。モバイルMAU(マンスリー・アクティブ・ユーザ)は6億1700万人に達する。EC市場の取引比率では86%がモバイルで決済している。「中国人は、スマホとともに暮らしている状況」(チャン氏)と語り、今後もモバイル決済の成長に期待が持てると語った。

 一方、東南アジア向けのプラットフォーム「Lazada」は、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの6カ国で展開し、既に6カ国で合計5億6000万人の利用者をカバー。「TMALLグローバル(天猫国際)を通じて中国国内の消費者に販売すると同時に、Lazadaを通じて東南アジア地域への拡販を図ることができる」とアリババグループのアジア地域での展開力を強調した。

 また、日本ブランドはTMALLグローバルでの売上高が前年比54%増と大きく成長し、国別の売上高で米国やオーストラリア、韓国などをおさえてナンバーワンの売上高になっている。この背景には、中国人の好みが日本人と似ていて、日本のヒット商品がそのまま中国でも人気化する傾向があることに加え、「Japan MD center」などを通じた中国市場の消費動向などに対する日本企業の理解が深まっていることも効果があるとした。

 そして、アリババグループが進める新小売戦略の中で、中国の3級都市以下の小都市にある家族経営の小規模な雑貨店600万店舗をデジタルで連携しアリババのサプライチェーンに組み入れるというLSTの取り組みがある。既に100万店のデジタル化が終了し、急速に店舗のデジタルネットワーク化が進んでいるという。ネットワーク化された雑貨店は、売れ筋の把握がリアルタイムで可能になり、小規模な仕入れでもアリババの倉庫から直接入手できるようになって在庫切れ等の機会損失も防げる。このネットワークでは、EC市場のデータ活用によって、ECで人気のグローバルブランドが中国各地のリアルな小売店舗を通じて中国人に販売されるということが起き始めている。

 さらに、新小売戦略では、オフラインの輸入品専門ストアを展開し始めている。ストアでは見本品のみを展示し、それぞれの商品には、バーコードを読み込むことで中国語による使用説明書などがその場で閲覧できる仕組みを備えている。注文は、スマホを使ってQRコードの読み込みで終了し、保税倉庫から直接、消費者の自宅に向けて発送される仕組み。

 チャン氏は、「アリババは中国の消費をアップグレードしている」と語り、中国市場で様々な新しい小売形態の実現にチャレンジしていると語った。

 また、同カンファレンスでは、出店企業を代表してサントリーホールディングスの代表取締役社長の新浪剛史氏、アシックスの中国総経理のヒルダ・チャン氏、ストライプインターナショナル代表取締役CEOの石川康晴氏、コーセー常務取締役の小林正典氏が、取り組み事例の紹介を行った。(写真は、Japan MD center annual conferenceにて。右から3人目がアリババグループCEOのダニエル・チャン氏)