インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス)が好調な業績をテコに次世代サービスへの投資を加速している。5月になって、香港の美容外科でスマート医療を志向する香港医思医療集団と提携を発表し、中国に現地法人を設立した米EV(電気自動車)メーカーのテスラとの業務提携を検討しているとも伝えられている。この4月には政府系のコングロマリットである華潤集団との戦略提携が明らかになったばかりだが、アリババやバイドゥなどと競う自動運転分野での派遣争いに注力しつつ、幅広い分野を視野に入れた投資会社としての側面を強くしてきているようだ。

 テンセントが16日に発表した、18年1-3月期の決算は、スマートフォン向けのゲーム事業の大幅な成長によって、売上高は前年同期比48.4%増の735億2800万人民元(約1.27兆円)、純利益は60.9%増の232億9000万人民元(約4000億円)と、ともに四半期ベースで過去最高を記録した。決済サービスやクラウドサービスなどのその他部門が前年同期比2倍強の急成長をみせている。スマホ向けメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」のアクティブユーザー数は、3月末時点で前年同期比10.9%増の10億4000万人に達したという。

 4月に戦略提携が伝えられた華潤集団は、電力、不動産、消費財、医薬品、金融、セメント、ガスなど多岐にわたる事業分野に展開する企業グループ。このうち華潤の小売とビールの経営規模は全国一の規模を誇る。テンセントとの提携によって、スマートシティ、不動産管理、ヘルスケア、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、スマート小売など幅広い分野で協業をめざすと目されている。特に、人工知能(AI)やブロックチェーンなどテンセントが擁する最新技術を応用した電子決済などのデジタル経済の分野での連携で早期の提携効果が出てくると期待されている。

 新たに業務提携した香港医思医療は、テンセント傘下でスマート医療を展開する北京企鵞医院管理公司と戦略提携する。企鵞医院は、北京、成都、深センに3カ所の直営診療所を設置し、オンラインで健康管理や問診などのサービスを受けられるほか、オフラインでは病院の優先予約、海外医師による遠隔診療などが受けられるサービスを展開している。3年内に直営診療所を300カ所新設するほか、提携診療所を3000カ所増やす目標を掲げている。香港最大手の香港医思医療と提携することで、香港地域でのネットワークを一気に拡大する。

 また、米テスラとの業務提携が実現すると、広州汽車らと開発する自動運転の開発研究でも大きなプラス効果が期待できる。テンセントは昨年3月にテスラ株の5.0%を取得し、テスラの第5位の株主になっている。また、テンセント陣営では、先ごろ深セン市で公道での走行実験の資格を取得した。テンセントの馬化騰主席は株主総会で、「ビジネスとして着地するにはなお時間がかかる」との認識を示しているものの、ライバルであるバイドゥの計画では2020年に完全自動走行をめざすとしており、開発競争も佳境を迎えている。(イメージ写真提供:123RF)