中国メディア・東方網は9日、故・手塚治虫氏のマンガ「鉄腕アトム」の原画が約3500万円で競り落とされたことについて、高値がついて然るべきものであるとの見方を示す記事を掲載した。

 記事は、フランス・パリでオークションに出された「鉄腕アトム」の原画が、予想落札価格の6倍にあたる26万9400ユーロ(約3500万円)で落札されたことを紹介。原画は縦35センチ、横25センチの紙に描かれたもので、手塚氏のサインが付いていること、1950年代後半のマンガ雑誌に連載され、アトムが戦うシーンが6コマ描かれていると説明した。

 そのうえで、「1952年から68年まで連載されたSFマンガの同作品はその後アニメ化されるとともに、海外でも発売された。そして、アニメが青少年の健全な育成にとって有害であるという保護者達の認識を変えたのである」とした。また、同作品は日本のテレビアニメのパイオニアで、アニメ市場における画期的な意味を持つとも指摘。テレビドラマの手法と文学的な手法を組み合わせてストーリーを作り上げたとしている。

 さらに、「冷戦時代に誕生した同作品は、手塚氏の時代や人生に対する考え方が盛り込まれている。世界征服を狙う女将軍や、野心を膨らませた異星人たちは、時代が抱える憂慮を反映したものだ。『鉄腕アトム』の根底にあるのは、超大国の自身や単純さではなく、世の中の難しさ、人の心を計り知れないことに対する嘆息である。そして、子どもたちには『科学の力があれば天下は自分の物』ということだけでなく『科学を愛する少年も食事は必要であり、人びとからの尊敬を望んでいる』ということを教えてくれるのだ」と論じた。

 記事は最後に、「『鉄腕アトム』は1つの時代におけるアニメの啓蒙であるとともに、テレビアニメへの1つの試みだった。この2つの意味があるからこそ、パリでのオークションで驚くほどの高値がついたのだ」と結んでいる。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)