中国でIoV(インターネット・オブ・ビークル)を巡って、ITの巨頭であるアリババ(阿里巴巴集団)、テンセント(騰訊)、バイドゥ(百度)の熾烈な陣営合戦が繰り広げられている。

 バイドゥが2017年7月に発表した「アポロ計画」は、中国5大自動車メーカー(上海・東風・第一・長安・北京)のうち、東風汽車、第一汽車、長安汽車、北京汽車が参加を表明し、フォード、ダイムラーなど、中国で販売されている自動車全体の半分を占めるメーカーが集う国家プロジェクトとして注目され、「2020年までに完全自動走行をめざす」という目標を掲げて、着実な実験を重ねている。

 これに対抗して、テンセントは2017年11月に自社のIoVソリューション「AI in Car」を発表。長安汽車、広州汽車、吉利汽車、比亜迪、東風柳州汽車の5社との提携を宣言した。そして、今年4月15日に、第一汽車とも協力関係を締結したと発表した。第一汽車集団はこれまでIoVに関する独自研究を推進。「スマートコネクティビティ研究院」を開設し、車両遠隔コントロール、マルチスクリーン連携、スマートホーム連携などの技術を自社開発。これらの一部技術はすでに「紅旗」、「奔騰」、「解放」など傘下ブランド車に応用されている。

 テンセント陣営では、既に広州汽車が17年11月の広州モーターショーで、テンセントの音声技術ソリューションを採用したコンセプトカー「ispace」を発表。吉利汽車は今年4月、「AI in Car」システムを搭載したSUV「浩腰(BOYUE)」の18年モデルを披露した。また、長安汽車は4月12日、テンセントと合弁会社を設立することで合意。AI、情報セキュリティ、ビッグデータの分野で密接な提携関係を構築すると確認した。

 遅れが指摘されていたアリババは、17年12月にフォード、BMWと業務提携を発表。中国自動車メーカー最大手の上海汽車ともコネクテッドカーの開発で提携するなど、巻き返しを図っている。

 世界最大の自動車市場で次世代の自動車技術で競い合っているのが、従来の自動車メーカーではなくIT企業であるということは時代の変化を表している。バイドゥの計画を持ち出すまでもなく、「ウィナー・テイク・オール(勝者総取り)」の色合いが強いIT産業にあって、スピード感のある開発競争が繰り広げられそうだ。(イメージ写真提供:123RF)