中国のビルの屋根に次々と太陽光パネルが据え付けられている。これまで、北京の深刻な大気汚染がたびたび国際的なニュースとして取り上げられ、日本や韓国では中国からPM2.5(微小粒子状物質)の越境飛来が問題視されてきた。この大きな理由となっていたのが、河北省の重工業地帯で集中的に利用されてきた石炭火力による火力発電の存在。中国では、低品質な石炭を利用した火力に替えて、原子力・太陽光・風力発電の開発を加速させている。

 クリーンエネルギー電源の開発は、近年になって加速度的に拡大している。このほど北京で開催された「2018年中国国際クリーンエネルギーテクノロジー推進ウィーク」で、国際エネルギー機関(IEA)のシニアアドバイザーを務める楊雷氏は、「原子力・太陽光・風力発電向け設備投資の分野で、世界シェア3割に迫る規模にまで膨らんでいる」と紹介した。

 中でも、太陽光発電は、発電コストの低下によって大幅に拡大。中国経済信息社がまとめた「中国クリーンエネルギー業界年度発展報告(2017年度)」によれば、太陽光発電設備の新規設置容量は2017年、中国全体で前年比53.6%増の53.06GW(5306万キロワット)に拡大。5年連続で世界トップを独走しているという。

 Bloomberg New Energy Finance(BNEF)の速報データによれば、太陽光発電の2017年末の累積導入量は、世界全体で過去最大となる約4億kW(400GW)に達したといわれている。この調査データと比較すると、中国での新規の設備容量の大きさが知れようというもの。全世界での累積導入量の13%強にあたる規模の設備を1年間で新規に作ってしまっている計算だ。

 しかも、中国で現在進んでいるのは、建物屋上などに設ける分散型の電源の設置で、これは、前年比4.7倍の19.44GWが新設されたという。これまで主力だった地上固定型の集中型は、急激な開発によって送電網の整備が追いつかずにロス電力が生まれる「棄光」問題の深刻化によって集中型発電所の建設に急ブレーキがかかった。中国における太陽光発電設備の累積導入量は2017年末時点で130GWに積み上がり、うち集中型は100.59GW、分散型は29.66GWだという。18年も新規導入量は40GW~50GWに上ると予想されている。

 中国では環境汚染防止を2018年の「3大堅塁攻略戦」(重大リスク防止・貧困脱却・環境汚染防止)の一つに位置づけ、大気汚染物質の二酸化硫黄と窒素酸化物(NOx)の排出量3%減を目標に、これまでにも増して厳格な環境対策を求めていく方針だ。2017年に掲げた重点的な目標課題のうち、一次エネルギー消費量に占める非化石エネルギー消費量の割合(目標の14.4%に対して実績は13.8%)、都市の空気のきれいな日の割合(目標の79.0%に対して実績は78.0%)などの環境項目は未達のまま終わったという反省もあるだろう。

 日本では大気汚染対策として排煙脱硫装置に代表される有害物質の排出抑制など大気汚染防止対策が推進された。これに対し、中国では有害発電所の強制閉鎖とクリーンエネルギーの大量創出という対策で、有害物質の除去を進めようとしているようだ。どのような道筋をたどっても、中国の空気がきれいになると、日本や韓国が問題視しているPM2.5の飛来という問題も解消に向かう。一気に進んでいる中国のクリーンエネルギー開発に期待したい。(イメージ写真提供:123RF)