日本経営管理教育協会が見る中国 第499回--三好康司

 私は、埼玉県のプレス工場の経営指導を行っている。従業員数20名弱の、いわば「町工場」、技術力はあるものの、販路開拓が課題の企業である。その工場で、昨年5月頃から少し状況が変わってきた。今回は、その内容を書いてみたいと思う。

1.突然の注文増加

 私に求められていた経営指導の内容は、営業力強化であった。長年の業歴により、中小企業としては少なくない顧客数を持っていた。その顧客掘り起こしを一緒になって進めていたが、昨年5月頃からある製品の受注量が突然増加し始めた。最終製品を製造している訳ではなく部品として出荷しているだけであるため、最初は用途が分からなかった。秋口になると、大手商社からも同様製品の製造依頼が入ってきた。大手商社に確認すると、その製品は中国に輸出するという。プレス工場社長と何に使われているのか調べて行くと、産業用ロボットの部品であることが分かってきた。

2.中国が業界を牽引

 そのような状況を現場で見ている最中、2018今年1月13日の日本経済新聞に「産業ロボット 爆買いに沸く」という記事が掲載された。日本ロボット工業会によると、2018年の産業用ロボットの生産額が前年比1割増え、初めて1兆円に達する見通しで、中国の需要が生産増を牽引しているようだ。中国で産業用ロボットが導入される契機は人手不足や人件費高騰への対応からであったが、最近は製品品質向上の面からも導入を進める動きが広まっているとのことである。

3.熱気あふれる業界だが

 「中国需要は衰えない。今後設備を増強するなら中国だろう」、「中国に牽引される需要拡大により、産業用ロボットの生産額は3~5年で2兆円はいくだろう」と日本の産業用ロボット大手製造企業の強気のコメントが並んでいる。新しい設備導入に関しては、中国は非常にスピードが速いと感じる。

 しかし、中国の景気により、かつて短期間で工作機械や建設機械の受注が激減した事例もある。また、将来的には、中国の産業の高度化により現地企業がわが国に負けない産業用ロボットの製造を行う可能性もある。熱気に沸く業界であるが、予期できないリスクもはらんでいるように思う。

 以上の流れは、私が訪問しているプレス工場の生産増とも符合している。埼玉県の「町工場」の生産においても中国の動きや日中関係は無視できない状況となっている。その様な感を、この一年でさらに強めている。(写真は、産業用ロボットの代表的商品自動車。提供:日本経営管理教育協会)