日本経営管理教育協会が見る中国 第494回--下崎寛

■円安が華僑の不動産購入の要因

 私の事務所では、中国人華僑(台湾人、香港人、中国人)の不動産の購入・保有・売却までの税務申告・会計処理・入管ビザ等の台湾人・中国人スタッフによるワンストップサービスを提供している。

 最近の華僑の不動産購入については、以下のような傾向があった。

 日本の不動産を購入し始めた時期は、2012年の安倍政権になってからである。安倍政権になると円安になり、当時1ドル80円前後になっていた日本円が120円前後になったので台湾人を中心とする華僑による日本の不動産を購入しだした。80円から120円になると資金利用が1.5倍に活用できることにある。さらに、当時日本の不動産が割安であったこと、政治が安定していること、借入金利が異常に安いこと等の理由により、台湾人を中心とする華僑人が日本の主要な都市、東京、京都、大阪でのマンション購入が始まった。

 彼らの購入目的は、立地条件や投資利回りを重視する日本人の不動産投資家とは異なり、富士山が見えるマンションとか、皇居を見下ろせるマンションとか単純な購入動機が多く、自己資金で購入することからキャピタルゲインを目的とするか手持現金を現物資産に買い換えする資産保全を目的するものであった。

■買い主に源泉徴収の義務

 資産保全については、日本人ならば駅に近いとか環境が良いとかを考えるが、彼らは日本の不動産の地理感がないので、日本の主要都市のど真ん中を中心に購入している。虎ノ門ヒルズのマンションについては、1戸40坪のマンションは6億円前後するが、10戸を3人の台湾人が自己資金で購入した例がある。

 最近では、購入から5年程度経過して、キャピタルゲイン確定するためと元本保全のために、購入したマンションを売却し、買い換えを行っている状況にある。

 その外国人が売り主として売買する場合、注意を要する。

 日本に住所を置いていない外国人(税法上「非居住者」という。)が日本で購入したマンションを売却する場合、そのマンションを購入する日本人、外国人は、購入資金から10.21%源泉徴収して、税務署に支払わなければならない。売主が税金を払うのは当たり前であるが、何故買主が源泉をして税務署に税金を支払わなければならないのか。

 その理由としては、外国人は日本に住所を有していないことから、申告して税金を納めない外国人が多いので租税条約を取り決め、現金を支払う買主から売主の税金を徴収してもらうこととしている。この規定は、世界の常識となっている。なお、この源泉徴収を忘れると、その買主には、その源泉徴収税額の10%の不納付加算税と延滞税(年2.7%)がかかることになっているので注意したいものだ。(写真:新宿の高層マンション街。提供:日本経営管理教育協会)