日本経営管理教育協会が見る中国 第488回--大森啓司

・党の企業支配が強まる新体制

 第487回のこのコラムでは、5年に一度開催される「中国共産党大会」の記事が掲載された。習近平指導部は2期目を選出し党大会は2022年の3期目突入に向けて習氏の独裁体制が一段と進行する結果となったのは周知の事実である。習近平指導部が重要視するテーマの1つに民間企業への深い関与がある。この企業、特にサービス業は日本への進出が激しくなっている。今回は中国の日本への進出企業について論述してみた。

・日本への進出著しい中国資本

 先日、日本経済新聞にタクシー配車とライドシェア(相乗り)サービスで世界最大手の中国・滴滴出行が日本に進出する記事で掲載された。
タクシー国内最大手の第一交通産業と提携し、来年春にも東京都内で配車アプリを使ったサービスを始める予定である。

 過去には、自転車のシェアリングやアリババの電子決済など中国発のサービスが相次ぎ日本に上陸し、新聞の1面を賑わしている。
事実、筆者が2017年9月に北京に訪問した際に、市内の到る所は自転車だらけで、市民の身軽な交通手段になっているのに驚いた。この中の1社モバイクも8月から日本で事業を始めた。

 滴滴の配車アプリの登録者数は世界で約4億4000万人、同社が米ウーバーテクノロジーズの中国事業も買収しており、1日当たりの利用は2100万回以上と、配車サービスで世界最大手である。

 同社は保有台数約8700台の第一交通と組み、18年春にも都内で約500台を滴滴のアプリで配車できるようにする。さらに、各地のタクシー会社とも連携して全国規模で展開することで、日本でもネットを使った配車網の主導権を握る考えだ。

 第一交通は滴滴との提携で、中国からの訪日客のタクシー需要を取り込む。第一交通と滴滴は手数料や具体的な運用方法など細部を詰めている。
配車アプリではウーバーもすでに日本に上陸し、都内でタクシーやハイヤーの配車サービスを手掛けている。一部の過疎地では自家用車を配車するが、法的には例外扱いとなっている。

・規制で危惧される政府と日本企業の後手

 滴滴やモバイク、そしてアリババと中国企業のサービスが相次いで日本に進出している中、日本の企業は残念ながら手をこまねいてみているだけの感を拭えない。

 お隣中国は党の指導体制を強めながら、世界一流の企業を育成するという目標達成を目指している。日本はどちらかというと、過去40年の間にインフラ事業の民営化を進めてきたが、最近は神戸製鋼や日産自動車、スバルと不祥事ばかりで、世界に響く企業が一向に成長する気配が感じられない。日本の産業も長い目で見直しをしてみてはと考えるのは私だけであろうか。(北京・国会図書館駅に並ぶモバイク。写真提供:日本経営管理教育協会)