日本経営管理教育協会が見る中国 第487回--水野隆張

・5年に一度開催される「中国共産党大会」が閉幕

 中国共産党大会は2017年10月18日に開幕し、25日に習近平指導部二期目を選出して閉幕した。中国最高指導部の任期は慣例により十年とされており、本来ならば5年を終えた習総書記(64)の後任が今回決まって、習指導部はレームダック化に向かうはずだが、今回はそうはならず党大会は2022年の三期目突入に向けて習氏の独裁体制が一段と進行する結果となったようである。

・中国から世界を包囲する強硬路線を突き進む「習近平の治国思想」

 先代の胡錦濤主席は「科学的発展観」を掲げ、経済成長万能主義を排し、社会調和と環境保全にも配慮した持続的均衡発展を重視した。その前の江沢民主席も「3つの代表」を打ち出し、共産党は「先進的生産力の発展」「先進的文化の進路」「広範な人民の根本利益」の3つを代表しなければならないという仮説を唱えた。

 習近平は、そのどちらにも満足しないどころか、「建国の父」と位置づけられている毛沢東と並びたいという野心を抱いているようである。毛沢東は1976年にすでに死去しており、1981年に共産党は「歴史決議」を採択して、その政治手法を公式に否定するなど毛沢東は名実ともに過去の遺物と化している。

 しかし、習近平は毛沢東思想を巧みによみがえらせているのである。それが人権・民主・平等を求める国民を容赦なく弾圧し、他国との領土問題では砲艦外交で臨む、という「治国思想」である。「3つの代表」「科学的発展観」といった温和な仮説を捨て去り、中国から世界を包囲する強硬路線を突き進む「習近平の治国思想」が確立されれば世界への悪影響は計り知れないものとなるであろう。

・習近平独裁への道筋は必ずしも穏やかではない

 習近平の独裁への道筋は必ずしも穏やかではない。彼は外交ではまるで帝国主義のような横暴な政策を進め、多くの国との関係を悪化させてきた。同時に国内の外貨準備高が急減する現状を無視して、数十億ドルあるいは100億ドルを使ってフィリピンとマレーシアなどの国を「買収」してきた。

 さらには習近平政権が始まった後、中国と香港の対立は激化し、2014年には「雨傘運動」が起きた。最近ではこれまでなかった「香港独立運動」の動きも現れている。台湾問題でもかなりの失策を犯している。台湾に対して手を差し伸べるどころか恫喝を繰り返し、かえって台湾人の憎しみを激化させ、国民党の惨敗を招いた。

 中国経済もついにバブル崩壊の現実に直面しようとしている。政治面では習近平は政敵を「消す」一方で自分の腹心を取り立て、民間の反体制を厳しく弾圧してきた。腐敗を共産党から根こそぎにしようという運動は1950年代初頭に始まっており、今まで断続的に繰り返されてきた。

 しかし、その成果はいずれも一過性のものでしかなかった。実際には、腐敗を止めようと求めると、さらに腐敗が生まれるものである。収賄容疑の捜査を止めるには、賄賂が最も確実だからである。2012年のブルームバーグによれば、習近平の家族は数億ドル規模の資産を保有していると言われている。腐敗したエリートを完全に殲滅することは「自己殲滅」にも繋がりかねないということである。

・中国の歴史から見ればいずれは独裁体制は終焉する

 中国の歴史を振り返ってみると「皇帝が繰り返し登場して、潰れていく」という流れを辿っている。一見盤石に見える習近平独裁体制も中国の歴史が証明しているようにいずれは潰れる時期が訪れることは間違いないであろう。

(天安門の毛沢東の肖像。写真提供:日本経営管理教育協会)