日本経営管理教育協会が見る中国 第485回--下崎寛

 2017今年の9月24日から3日間、東京の上智大学で日中韓テレビ制作者によるシンポジウム(放送人の会主催)が開かれた。

 近年の日中韓の関係は、政治・外交レベルで複雑な状況に直面しているが、民間レベルでは観光やショッピングなどの往来はもちろん、文化的な交流は活発に行われ、お互いの関心度も高い。その背景にあるのは、ポピュラーカルチャー(一般大衆が広く愛する文化、対となるものにサブカルチャーがある)における交流、特にテレビプログラムを通じたお互いの社会や文化に対する関心の喚起である。

 このフォーラムでは、毎年あるテーマを決め、日中韓からその年の話題となったテレビ番組のドラマ部門、ドキュメンタリー部門、エンターテイメント部門の3分野の番組を持ち合って、日中韓のテレビ番組が相互にどのような形で受け入れられ、それが、それぞれの相互関係にどのような役割を果たしてきたかについて、その製作者の感想と意見を話し合うものである。

 このシンポジウムは、毎年日中韓の持ち回りで開催され、今年で17年目となる。

 今年のテーマは「田舎暮らし~都市と地方の問題を考える」である。

 日本側からは、①エンターテイメントとしては、信越放送のお年寄り写真を中心としたフリーペーパー「鶴と亀とオレ」、②ドキュメントとしては、山陽放送の香川県土庄町の老人問題を扱った「島の命を見つめて」、③ドラマは、ドリマックステレビジョンの東日本大震災の仔馬物語「絆」である。

 韓国から、①ドラマ「被告人」、②エンターテイメント「覆面歌王」、③ドキュメンタリー「青春、智異山に暮らす」、中国からは、①ドキュメンタリー「節気」、②ドラマ「三妹」、③エンターテイメント「郷村の世界」である。

 日中韓では、外国製番組の受け入れや、番組の海外輸出に関しては、日中韓の制度的政策的な違いがあり、時の政治的状況や外交関係の影響も受けやすい。ただ、インターネットの普及など、メディア環境の変化も相まって、それらの違いを乗り越える形で、若者を中心に音楽や芸能、消費文化などの領域で、交流の足跡に出くわすことが多い。

 また、テレビをきっかけとした観光ブームやインバウンドといった経済的な波及効果も注目を集めている。

 日中韓のテレビ制作の特徴は、日本では、視聴率が前提であり、民放においては、スポンサー番組であるので、その制約はあるものの、基本的には自由に作られるが、中国では、政府の規制が強く、番組の企画については半分くらい許可がでないらしい。また、韓国では、予算が厳しく、「面白ければ良し」とする視聴率第1主義であり、反日番組は視聴率は高い。

 私は毎年参加しているが、各国のテレビ制作者の率直なお話を聞くと、各国のテレビ制作の事情、文化慣習の違い等の現状が把握でき、大変参考となるものである。一度参加することをお勧めしたい。

(日中韓テレビ制作者フォーラム。写真提供:日本経営管理教育協会)