日本経営管理教育協会が見る中国 第483回--磯山隆志

■ワム!のデビューから35年

 ワム!とはボーカルのジョージ・マイケルとギターのアンドリュー・リッジリーから成る、イギリス出身の二人組音楽グループである。1981年に結成され、翌年の82年にシングル曲「Wham Rap!」でデビューしたため、今年で35周年になる。

 83年にはファーストアルバム「Fantastic」が発売された。このアルバムはイギリスで初登場1位となり、一気に人気に火がついた。さらに84年にはセカンドアルバム「Make It Big」が発売され、イギリスだけでなく、アメリカや日本でもヒットし、世界的な成功を収めた。このアルバムからは「Wake Me Up Before You Go-Go」、「Careless Whisper」がイギリスとアメリカで1位を獲得するなど、多くのヒット曲が生まれた。

 特に「Careless Whisper」は日本で郷ひろみや西城秀樹にカバーされ、これもヒット曲となった。同じ時期には日本のCMにも起用され、来日公演も行われた。また、この頃には「Last Christmas」がシングル曲として発売されヒットした。「Last Christmas」は現在でもクリスマスの定番曲として、世界中で親しまれている。しかし、86年に人気絶頂の中、ワム!は解散した。発売したスタジオアルバムは3枚、活動期間は5年であった。

 その後、ボーカルのジョージ・マイケルはファーストアルバム「Faith」を発売し、ソロシンガーとして多数のヒット曲を生み、大活躍した。2014年にはライヴアルバムを発表し、イギリスで1位となったが、昨年、2016年12月に53歳という若さで亡くなった。

■英・米のポップミュージシャンとして初めての中国公演

 ワム!は1985年、欧米のポップミュージシャンとして、初めて中国で大きな公演を行ったことでも知られている。この時の公演にはチケットが高額で、情報も限られていたにもかかわらず15,000人が集まったとされる。80年代の中国では、まだ西洋の音楽は政府の管理下にあり、禁止されていたという。そのため当時の公演では、当日初めてワム!の曲を聞く人がほとんどであったとされる。

 日本のカセットテープのCMにも使用されたヒット曲「Freedom」のプロモーションビデオには、その時の模様が収録されている。街にはまだ人民服の人や自転車が目立っている。ライヴでは当初、座って聞いていた観客が多かったが、次第に立って踊り出す人が増えてきた。

 当時このライヴを聞いて踊っていた人達は今、何を思うのであろうか。20代だった人はもう60歳近くになっている。欧米や日本のポップミュージシャンが中国で公演することはもはや珍しくない。ライヴの市場規模も大きくなり、世界ツアーに中国公演が組み込まれるケースも多い。しかし、一方でカナダの歌手、ジャスティン・ビーバーは中国での公演が禁止されているという。

 理由は不適切な行動にあるとされるが、これ以外にも政治的な理由で公演が禁止されるミュージシャンもいる。ワム!の中国公演から30年以上経ったが、未だに世界的に人気のあるミュージシャンでも見ることができない。そのような状況がこれから30年以内に変わることがあるだろうか。注目を集めるところである。(若者で賑わう上海南京路歩行街。写真提供:日本経営管理教育協会)