日本経営管理教育協会が見る中国 第482回--三好康司

 核実験、ミサイル発射と北朝鮮情勢が緊迫している。また、拉致問題は遅々として進展しない。経済制裁の動きも強まっている。そのような中、約30年前の1985年に、韓国語を勉強した会社の同僚が「ハングル・スピーチ・コンテスト」に参加、応援に行ったことを思い出した。今日は、その時のことを書いてみようと思う。

1.友人がコンテストに参加した

 私は、1985年に大阪に本社がある貿易会社に入社した。入社と同時に、兵庫県西宮市にあった社員寮に入ったが、隣の部屋になったのがA君である。彼は、大学時代からアジア諸国の歴史や経済に興味を持っており、何度も韓国に足を運んでいた。韓国語も大学時代から勉強しており、私も言葉を教えてもらったものである。

 A君より、「大阪市生野区で開催されるハングル・スピーチ・コンテストに参加するので見に来てほしい」と話があり、喜んで見に行くこととした。

2.子供たちのスピーチが始まった

 会場のある大阪市生野区は、日本有数のコリアン・タウンである。焼肉店が密集する鶴橋駅から徒歩5分位のところにコンテスト会場があった。基本的に、在日コリアンの方が中心のコンテストであり、A君は、小・中学生の部に参加したと記憶する。A君のスピーチは、日頃の勉強の成果か流暢なスピーチであった。内容はあまり覚えていないが、政治的な内容は含んでいなかったと思う。

 その後、小・中学生のスピーチが始まったが、子供達の話す内容が、見事に2つに分かれるのだ。1つは、子供らしいスピーチ、もう1つは政治色満載のスピーチである。耳を疑うような内容に大変驚いた。

3.衝撃を受けたスピーチ内容

 政治色満載のスピーチとは、例えば「偉大なる●●主席のおかげで私たちは幸せに暮らしています。それに比べ、韓国の子供たちは貧しい思いをしていて可哀想で仕方がありません」、「鬼畜のようなアメリカと、私たちは徹底的に戦い抜かねばなりません」などの内容である。スピーチ会場は、日本の大阪である。かわいい顔をした子供たちが何を言い出すのかと衝撃を受けた。しかも、そのスピーチを聞いて、見に来ている親達が喝采を送っているのだ。

 帰りにA君にいろいろ質問し、在日コリアンは民団系(韓国系)と総連系(北朝鮮系)に分かれていることを知った。その後、私も韓国・北朝鮮情勢をチェックするようになった。

 あれから30年以上が経過したが、残念ながら、衝撃を受けた子供達のスピーチ内容は今も生きている。国際社会の緊密な連携が必要である。

(大阪市鶴橋のコリアン・タウン。写真提供:日本経営管理教育協会)