華人が多く住む国や地域にはチャイナタウンが存在することが多い。米国であればカリフォルニアのチャイナタウンが有名であり、日本であれば横浜、神戸、長崎のチャイナタウンなどが規模も大きく、有名だと言えよう。ロシアの首都であるモスクワにも大勢の華僑、華人が暮らしており、その数は増加傾向にあるというが、なぜかモスクワにはチャイナタウンがないのだという。

 中国メディアの観察者は3日、ロシアメディアのスプートニク国際放送の報道を引用し、モスクワには過去に中国人が経営して成功を収めたホテルや病院が存在したことはあったとしながらも「欧米諸国で見られるようなチャイナタウンが存在したためしがない」と伝え、その理由は、中国人とロシア人は融合しやすいうえ、中国経済の実力が高まるにしたがって中国人が一箇所に集まる必要性が薄れたためではないかと伝えている。

 報道によれば、モスクワには古くから中国人が暮らしていて、1920年代にはクリーニング店などを経営する中国人が多く見られたようだ。その後、旧ソ連の政策変更を理由に1930年代末には多くの中国人が旧ソ連を離れたが、1950年代や80年代末になると旧ソ連で学ぼうとする中国人留学生が増え、学業に携わりつつも仕事をする中国人が多く見られたという。

 それにも関わらず、カナダや米国、オーストラリアなどで見られるようなチャイナタウンが、モスクワにはできなかったのは、かつて欧米でチャイナタウンを形成した中国人は福建省や広東省周辺の出身者で、現地の言葉を理解できなかったため、不当な扱いを受けることが多く、中国人同士で団結して商売をするためにチャイナタウンを形成したからだと、モスクワの華僑華人連合会の黄静主席は指摘した。

 また、ロシアにやってくる新しい中国人は増加傾向にあるものの、近年は中国経済が発展したことで不当な扱いを受ける可能性が相対的に低下したこと、古くからロシアで生活している華人や華僑達が現地の社会に溶け込んでいるため、新しい世代の中国人も、ロシア文化とロシア人を尊重し、現地の文化を理解し、共に発展しようと努めており、こうした要因によってモスクワにはチャイナタウンがないのだと伝えた。

 しかし一方で、ロシア政府が華人、華僑にチャイナタウンを作らせないよう対策を行っているとの報道もある。総合的に考察すると、どうやら必ずしも中国人や華人、華僑側の行動のみが原因で中華街がないというわけではなさそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)john6863373/123RF タイ・バンコクのチャイナタウン)