中国メディア・今日頭条は8月31日「中国には日本のような職人気質が必要か」とする記事を掲載した。記事によれば、現在の中国ではある理由により、日本とは性質の異なる職人気質が求められているという。

 記事は「工匠精神」(職人気質)という言葉が今や中国の大手企業の間に広がっており、職人気質を発揚することが中国製造業のトレンドになっていると紹介。「職人気質というと、日本やドイツを挙げざるを得ない。日本製、ドイツ製製品のとりこになる中国人が出現する理由は知っての通り。今中国に職人気質が求められているのは、中国経済の飛躍的な発展に対して、国内の製造業やサービス業が一部の人のニーズを満たせなくなってしまったからだ」とした。

 しかし、中国社会には日本の手工業者のような、精のうえに精を求める職人気質が必要だとの認識があるとする一方で「日本の経験から見れば、このような職人気質は中国経済の発展を妨げるリスクも持ち得る」と指摘。「職人気質はもちろんいいことなのだが、それを学ぶ際には注意すべき点がある。優れた人材を大量に投入し、長い時間をかけて開発し、理想の商品を提供したとしても、生産効率が低いままでは利益の出しようがない。そして、1つの物事に執着しすぎれば、新しい技術やイノベーションの波に置いて行かれてしまう」と論じた。

 そこで記事が出した結論は「中国には100%の職人は必要ない」というものだ。中国の大部分は決して豊かではなく、80点の商品を50点の価格で売るというコストパフォーマンスがとても重要であり、現在の中国に必要なのは「適度なところで止められる職人気質」なのだという。記事は「必要なのは100点の完ぺきな製品ではなく、適度な価格で提供できる95点の製品。95点の製品で市場シェアを拡大し、生産規模を増やせば、企業にはさらに品質を高める余力が生まれる。そこで改めて100点の製品とサービスを提供するようになれば、先進国の企業にとっては脅威になるはずだ」としている。

 確かに、1人あたりの所得水準を考えれば「職人が精魂込めて手づくりしました」という高級品を生産したとしても価格が高すぎて売れないかもしれない。ただ、80点の商品を生産するなら職人気質も80%でいいという考え方には違和感を覚える。「80点でいいんだ」と考えて物を作るのと、研究を重ねてコストパフォーマンスの良い80点商品を追求するのでは意味が全く異なってくる。前者はやがて80点の商品すら作らなくなるだろうが、後者はいつしか100点に近い商品を作る力を身に付けることだろう。

 大切なのは点数やパーセントの問題ではない。自分たちが作るべきもの対してどれだけ真剣に向き合えるかなのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)