中国は自国を中心とした経済圏の確立に向けて「一帯一路」と呼ばれる戦略を推進しており、同戦略では高速鉄道が重要な鍵を握る。タイの軍事政権は中国側の働きかけを受け、首都バンコクと北東部のナコンラチャシマを結ぶ高速鉄道計画を承認したが、同路線は将来的に中国とも結ばれることが想定されている。

 高速鉄道の建設は当然ながら政府主導で進められるプロジェクトだが、中国メディアの一点資訊はこのほど、「政府ばかりが強力に推進する高速鉄道計画に対し、タイの民は冷めている」と論じる記事を掲載した。

 記事はバンコクポストの報道を引用し、中国とタイを結ぶ高速鉄道の第一期工事として、中国とタイの首脳は9月4日から5日にかけて正式に調印する計画だと伝える一方、「紆余曲折が続いた中タイ高速鉄道がようやく始動する見通し」だと報じた。

 中タイ高速鉄道は中国が推進する「一帯一路」のうち、中国から東南アジア各国を結ぶ鉄道路線の一部とされ、中国は雲南省からバンコク、そしてシンガポールまでを高速鉄道で結びたい考えだ。同計画はパンアジア高速鉄道計画と呼ばれ、ラオスも経由することになるが、ラオス国内ではすでに工事が始まっていて、2020年に完成する予定となっている。

 記事は、中国とタイがこれまで高速鉄道計画について協議を行ってきたものの、その協議は一向にまとまらず、紆余曲折が続いたと伝え、それは「タイの政変と日本との競争が原因だ」と主張。日本がタイに高速鉄道計画の提案を行ったことで、タイは中国に対して「価格交渉」を行うようになったとし、これによって協議がまとまらなくなったと主張した。

 また、紆余曲折が続いたもう1つの理由として「タイ国民の高速鉄道に対する熱意が欠けていること」を挙げている。タイ政府は高速鉄道建設に積極的な姿勢を示してきたほか、中国メディアも中タイ高速鉄道の必要性を積極的にアピールしてきたが、それとは裏腹に、タイ国民の間では「中タイ高速鉄道は中国が必要としているだけで、タイ国民に利益をもたらさない」という認識が広まっているという。

 記事は、タイ国民はすっかり「冷めてしまっていて、中タイ高速鉄道計画に対する疑念を抱いている」と指摘し、中国とタイ政府が鉄道計画について正式に調印したとしても、タイ国民の疑念は消えるものではないと伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(c)hinnamsaisuy/123RF)