日本経営管理教育協会が見る中国 第478回--水野隆張

・米領グァム沖への弾道ミサイル発射に日韓が連携を確認

 2017年8月25日安倍晋三首相は韓国の文在寅大統領と電話で協議して米領グァム沖への弾道ミサイル発射を予告する北朝鮮への対応めぐり「北朝鮮の挑発的言動はエスカレートしている。断じて容認できない」と強調した。これに対して文在寅大統領は「不測の事態の備えが不可欠だ」と応じて対北朝鮮で日韓が連携することを確認した。

・米国は中国の北朝鮮制裁に不満を表明

 一方、米国のトランプ大統領は北朝鮮に最も影響力の有る中国に対して制裁を強化することを強く要請してきたが、これまで中国は対北朝鮮制裁に賛成しながら実行段階で骨抜きにする行動をとってきた。トランプ大統領はツイッターで「われわれの過去の愚かな指導者が、貿易で年間数千億ドルももうけることを彼らに許してきたのに、彼らはわれわれのために北朝鮮への対応で口先だけで何もしない。われわれはもはやこの状況が続くことを許さない」と主張している。

・中国の北朝鮮制裁に対する本気度

 中国が北朝鮮に対する事態で最も恐れているのは、金正恩体制の崩壊によって北朝鮮からから難民が押し寄せ、その危機が長期化すること、および国境付近で米軍のプレゼンスが高まることだ。中国は北朝鮮に対して兵器関連の実験凍結を要求する一方、米国には周辺地域での軍事演習中止を提案している。

・中国の北朝鮮制裁は抜け穴だらけ

 事実上、中国では北朝鮮との国境沿いにある中国の町丹東にある衣料の会社は、北朝鮮に対して生地などの素材を送って衣料を作らせ、「メイド・イン・チャイナ」のラベルを貼らせて入手し、輸出している。偽のラベルのお陰もあり、北朝鮮の衣料産業は昨年5億ドル以上の売り上げを記録した。

 制裁の抜け穴を使っての北朝鮮の中国に対する石炭の販売は、昨年11億ドルに達した。海外で働いている北朝鮮労働者は40カ国、5万人以上にのぼり、年に2億5千万ドルほどを国に納めている。中国は北朝鮮貿易の80%以上を占め2月に今年いっぱい北朝鮮から石炭の輸入を止めると発表した。

 中国は北朝鮮の衣料産業は軍事計画ではなく、制裁は国民に痛みを与えるとして国連の制裁対象から除いてきた。しかし北朝鮮の民間企業は国の官吏が監督しているうえに、原子力庁が管理している「朝鮮金山貿易会社」が衣料工場を運営して言うという事実もある。

・制裁の抜け穴は他にもある

 制裁の抜け穴はほかにもある。制裁は北朝鮮の貨物を積んでいる船舶の捜査を決めたが、外国籍の船舶は対象とされていない。北朝鮮が在外の大使館を通じて金を稼ぐことが規制され、ドイツへは厳しい措置が取られたが、北朝鮮は規制の弱い国にビジネスを移した。

 キューバ、ロシア、イラン、さらにはパキスタン、バングラデシュ、ラオスといった国からどの程度の協力が得られるだろうか。米国は北朝鮮の高麗航空のボイコットを呼びかけたが、高麗航空は依然として中国、ロシアに飛んでいる。中国人の北朝鮮への観光旅行は盛んである。銀行取引の制裁については、北朝鮮は外国にある隠れ蓑の会社を使って制裁を回避しており、中国の仲介者を通じて受・送金を行っている。

・今後の対北朝鮮問題に関する米中駆け引きに注目!

 このような抜け穴だらけの対北朝鮮制裁に対して、今後中国が北朝鮮を本気で締め上げようという戦略的決定をするかが、北朝鮮問題の解決の鍵となる事が予想されており今後の米中の駆け引きが注目されるところである。(写真は日本経営管理教育協会が提供 中国から見た北朝鮮再北端、鉄橋はロシアへ)