日本経営管理教育協会が見る中国 第477回--大森啓司

 2017年9月上旬、毎年の恒例になった北京へのシンポジウムが迫ってきた。1日目は中日民間建設城市建設座談会、2日目は首都経済研究所との意見交換である。筆者は初日の健康都市研究員での発表を予定しているが、現在その原稿の準備に追われている。そこで今回は、昨今の中国と日本の健康意識の差について論述してみる。

■大切なことは平均寿命ではなく健康寿命

 昨年5月、世界保健機関(WHO)が発表した世界保健統計によると、世界一の長寿国は前年同様日本で男女平均が83.7歳だった。2位はスイスで83.4歳、3位はシンガポールで83.1歳となっている。

 しかし、日本の厚生労働省が国際比較した結果では、1位は香港であるとの結果もある。統計データは何を基準にしているのかが不明確なので、この辺の話は横においておき、主張したいのは長寿が必ずしも美徳ではない、という事である。

 その理由としては、医療費が必要以上にかかる(日本の健康保険制度は崩壊に近い状態)、周囲には老々介護でくたびれている夫婦などが散見されるので。健康で長寿というのが大前提であると考えたい。

 そこで、健康寿命を調べてみた。健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間を表している。健康寿命が長いほど、寿命に対する健康寿命の割合が高いほど、寿命の質が高いと評価され、結果として医療費や介護費の削減に結びつく。

 この健康寿命、世界1位はこれも日本で74.9歳だった。2位はシンガポールで73.9歳、であった。健康で長生きという分野においても、日本は世界のトップクラスにあげられていた。

■日本と海外での健康に向けた環境差

 気になったのは、健康寿命における環境に日本とシンガポール・香港では大きな差がある事である。日本では、長寿の秘訣と言えば、人里離れて自然と暮らすイメージを思い浮かべがちだ。事実、私の知っている元気な高齢者は、田舎で農業が大多数である。前日も95歳の老父が、畑で倒れて亡くなった。老衰である。彼は自宅で家族に見守られながら亡くなった。

 一方、シンガポールや香港といえば、日本にある田舎というイメージはない。なのになぜ、健康寿命が長いのか?それは、食事が健康の源であるという医食同源の考え方、漢方薬等の身近な医療の充実、そして喫煙率の低さなのではないだろうか?例えば、喫煙率は日本が約20%であるのに対して香港は10%。少しずつ規制を強化してきた成果との見方もできる。

■健康で長寿の環境を考えたお盆休み

 香港やシンガポールは大都会で、健康長寿には合わないという認識が日本人にはあるかもしれない。しかし大都会であっても、高齢者が公園に集い太極拳や将棋に興じるなど、人の賑わいや交遊が長寿の秘訣になっている。事実、公園は日本では子供たちのものだが、中国は高齢者の為である。
著者も61歳となり、生きているのではなく、人生の第4コーナーを回り、このお盆はこれからの人生、都市が田舎か?を考える良い機会であった。

(写真は日本経営管理教育協会が提供 太極拳で健康意識を高める中国人)