日本経営管理教育協会が見る中国 第476回--下崎寛

最近の中国では、スマートフォンが中心となる社会が確立されている。

 日本では、携帯電話からスマートフォンへ移行時期は10年位かかったが、中国では、その半分の5年位で全国に普及している。ある統計によれば、全世界のスマートフォンの使用台数は15億台くらいであり、中国では7億台を保有しているとのことである。中国の人口を14億人とすると2人に1人が持っている計算になる。これは、共産党一党支配で軍事上、個人管理上の強化のために全国に無線基地網を確立し、その整備を強化していることが背景にある。

 日本においては、一時期田舎に行くと携帯電話が通じないなどの不便があり、通信網の設置が民間任せであったので無線基地の配備がうまく進まなかったが、中国では、共産党の命令により国是で整備するので、早さが違うのである。

 そのスマートフォンの普及によって、最近の中国では、新しいビジネスが流行っている。

 その面白い例としては、シェアリング自転車である。昨年来、北京、上海のような大都市で爆発的にヒットしている。最近、大都市郊外の地下鉄駅から出るとオレンジ色や黄色のシェアリング自転車の大群で歩道が通行できないようになっている。その使用方法については、電話番号と身分証(外国人も利用できる。)で登録し、「支付宝」「微信支付」などの電子マネーを利用して299元(約5000円)で専用アプリにチャージすると利用できることとなっている。

  その利用の仕方は、特定の自転車置き場に専用アプリを起動して車体に貼られたQRコード(日本人が発明したものであるが、中国人は誰も知らない。)を読み込むと自転車のロックが解錠され1時間につき1元(約16元)で利用できる。使用が終われば、どこにでもある指定の自転車置き場に返却する。

 これは、近年スマートフォンの普及により、このシェアリング自転車が現在爆発的に利用されている。

 なお、中国ならではのマナーの問題が起こっている。すなわち、自転車が川に捨てられたり、壊されたり、持ち去られたりしており、倒産する会社も出始めているようである。また、自分で勝手に使いたいと考える者もおり、勝手にカギを変えたりする者もいる。

 加えて、使用する自転車置き場も統制がなく、地下鉄駅前に通勤で利用するために乱雑に自転車が置かれ、通行に不便となる駅も増えている。

 その他、目立つことは、飲食店やコンビニにおけるスマートフォンでの電子マネー決済が多く、現金で払うことが少なくなっている。また、映画等の娯楽施設の切符についても事前にスマートフォンで購入し、入場するときにスマートフォンをかざして入場するなどキャシュレス社会となりつつある。

 なにせ中国では、日本の人口の10倍となる人たちがおり、便利でスマートと感じれば、なんでも試す文化の持ち主であることから、今後中国の新ビジネスには注意を払う必要がある。(写真は日本経営管理教育協会が提供)