中国では本格的なキャッシュレス社会が到来しようとしている。もはやスマートフォンが1台あれば、買い物から公共料金の支払い、投資や融資まで何でもできる環境が整備されつつある。

 中国メディアの鈦媒体によれば、米国の投資会社であるゴールドマン・サックス証券はこのほど、中国で勃興するフィンテックについてのレポートを発表した。同レポートでは、中国の次世代の金融インフラはもはや中国の国有資本による独占ではなく、IT企業が牽引することになると分析している。

 中国では現在、モバイルによる電子決済が急激に普及しているが、電子決済サービスを手がけているのは騰訊やアリババ集団傘下の螞蟻金融などのIT企業だ。記事は、ゴールドマン・サックスのレポートを引用し、「従来の金融機関は新しい金融サービスの需要を満たすことができていない」としたうえで、中国のIT企業は電子決済サービスを入り口としたクローズドなエコシステムを構築しようとしていると伝えた。

 また、2010年における中国の第3者決済の市場規模は1550億ドル(17兆460億円)だったが、16年には約74倍の11兆4000億ドル(1253兆7116億円)にまで急拡大している。また、中国の電子決済はすでに日本を含めた複数の国でも使用することができるようになり、第3者決済の75%が携帯電話・スマホ経由で行われたという。さらに、ネット上でお金の貸し借りを行う「ソーシャルレンディング」の規模は13年から16年にかけて36倍に拡大した。

 同レポートは、中国の金融産業が新しい技術によって再構築されようとしているとし、現金主義だったはずの中国の消費者たちは「キャッシュレス社会」を迎えようとしていると指摘。従来の金融機関が国有企業を優遇し、中小企業や一般消費者の金融サービス対するニーズが軽視されてきたが、こうしたニーズを中国のIT企業が上手に汲み取り、市場の空白を埋めていると指摘、フィンテックを背景とした中国の金融産業の変化は今後5−10年は続く見通しだとしている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)