北朝鮮の核開発や弾道ミサイルの開発をめぐり、米朝の緊張が高まっている。国連安保理は5日、北朝鮮に追加制裁を行うことを決めたが、これに対して朝鮮中央通信は9日、米国領であるグアム島の周辺に4発のミサイルを撃ち込む攻撃を検討していると発表した。

 米朝間の緊張は中国でも大きな注目を集めている。中国国営の中国中央電視台(CCTV)は10日、米軍は2000年以降、グアムの米軍基地に戦略爆撃機や原子力潜水艦を配備するなど、軍事拠点としての機能を強化し続けているとし、北朝鮮がグアムを名指ししたのは「米軍にとってグアムは太平洋の軍事戦略上、非常に重要であり、北朝鮮にとっては脅威だからだ」と伝えた。

 CCTVによれば、グアムから北朝鮮までの距離は約3000キロメートルで、グアムの米軍基地に配備されている戦略爆撃機「B-1B」やステルス戦略爆撃機「B-2」ならば最短2時間で朝鮮半島に向かうことができるという。

 CCTVは北朝鮮側の見解として、「韓国で北朝鮮を対象として軍事演習が行われるたびに戦略爆撃機がグアムから飛来しており、北朝鮮は米国による北朝鮮侵略の最前線基地であるグアムに対して圧力とけん制を行う必要性を感じている」と伝え、これが今回、北朝鮮がグアムを名指しした理由であると報じた。

 では、中国側は北朝鮮と米国の軍事衝突の可能性をどのように見ているのだろうか。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は10日、社説を発表し、「理性的な判断に基づけば、戦争が起きる可能性は現時点では大きくはない」としている。

 その理由として、米国にとっては北朝鮮と戦争することによる戦略上の収穫はほとんどなく、北朝鮮もあくまでも米国との交渉が目的であるため、米朝が戦争に向けて最後の一歩を踏み出すことは「双方ともにないだろう」とする一方、朝鮮半島をめぐる不確実性が高まり続けているのは事実であり、判断ミスや思わぬ事態から戦争が起きる可能性は排除できるものではないとした。

 さらに社説では、米朝の緊張を緩和するうえで「中国政府は無力」であるとし、一定の距離を保つ姿勢を見せた。また、北朝鮮がミサイル攻撃を行い、それによって米国から報復を受けるとしても「中国は中立を保つ」とした。だが、米韓が軍事行動で北朝鮮の政権転覆を図り、朝鮮半島の政治的版図を変えようとするならば、中国は「それを断固として阻止する」としている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)motttive/123RF)