日本経営管理教育協会が見る中国 第475回--宮本邦夫
 
 30年来の知り合いである北京の友人が、歯周病の治療のために訪日するという。ここ数年、中国からのメディカル・ツーリストが増加していることは知っていたが、それは業者による団体ツアーが中心であると思っていた。だが、今や個人的に医療旅行する人が出てきたというわけである。このような状況の下にあって、今後のメディカル・ツーリズムはどうあるべきかについて以下で考察してみたい。
 
◇高度の医療技術ときめ細やかなサービスの維持・向上
 中国人を含め外国人が日本へ医療観光に来る第一の理由は、日本の病院が高度な医療技術を有してからである。つまり、日本の高度な医療技術を信頼してくるわけであるから、医療事故などは絶対に起こさないことに加えて、さらに高度な医療技術を維持・向上させていかないと、信頼を失うことになる。外国人が日本へ医療観光に来る第二の理由は、日本的なきめ細かいサービスが受けられるからである。日本の医療関係者は、医師や看護師だけでなく、その他もスタッフも、患者のもてなしがどの国よりも良いという評判である。このようなきめ細やかなサービスを今後も継続して行くことが肝要である。
 
◇医療通訳の養成、確保
 メディカル・ツーリズムでは、医療関係者だけではなく、医療通訳の存在が成否を左右することが少なくない。すなわち、メディカル・ツーリズムでは、担当の医師が患者の言葉が分からないときは、通訳を介して症状などを聴くわけだが、その通訳が誤訳をしたら医師が誤診をしたり、最悪の場合には医療事故に発展する。そこで、優れた医療通訳を養成することが必要になってくる。
最近では、いくつかの専門機関が医療通訳の養成コースを設けているが、質の良い医療通訳が生まれることを期待したい。また、医療機関が医療通訳を確保できる仕組みづくりをすることも大切である。
 
◇欠かせないアフターケアの充実
 メディカル・ツーリズムを成功させるためには、以上の他にアフターケアの充実化を図ることも重要である。メディカル・ツーリズムでは、多くの場合、短期間で治療を施すことになり、その後のケアを必要とする。外国人の患者は、そう頻繁に訪日して治療を受けることはできないのであるから、治療を終えて帰国した後のケアをどうすべきかについて、細かい指示をするのは当然のことである。そのための最良の方法は、患者ごとにアフターケア・プログラムを作成することである。治療時のきめ細やかなサービスだけではなく、アフターサービスもきめ細かく行うべきである。(写真は日本経営管理教育協会が提供)