日本経営管理教育協会が見る中国 第474回--磯山隆志
 
・VPNとは
 
 VPNとはVirtual Private Networkの略であり、仮想的に専用線のような拠点間の接続を実現する技術である。インターネットのような不特定多数の人々が利用するネットワークであっても暗号化などにより、データの盗聴や改ざんなどを防ぎ、高いセキュリティの通信を可能にする。
 
 VPNサービスを提供する事業者も数多く存在している。中には海外とVPN接続するサービスもある。特に海外から国内へのVPNサービスはインターネットの規制が厳しい国で多く使われている。
 
 中国ではグレートファイアウォールと呼ばれるインターネットを検閲するシステムがある。このシステムは中国政府に対して批判と捉えられるような検索キーワードやフェイスブック、ツイッターといったSNSなどを検閲の対象とし、通信を遮断している。しかし、VPN接続は遮断されていないため、中国国内で活動する企業や個人にとって、VPNサービスは検閲を回避できる手段として利用されてきた。
 
・VPN規制の報道
 
 今年の7月、中国政府が個人のVPN接続を禁止するとの報道があった。報道によれば、来年の2月までに個人のVPNの使用を禁止するよう、中国政府が国有の通信会社に求めたとされる。また、その前には7月から中国国内のVPNサービスが顧客にサービス停止を通知したとの報道があった。6月にはインターネットの規制を強化する法律も施行されている。中国政府によるVPNの規制については、すでに今年の1月にも未許可のサービスを違法として、取り締まりを強化するとの報道があった。
 
 中国政府は今回の個人のVPN接続規制に関する報道を否定しているが、今後も規制について強化の方向性は変わらないであろう。最近では、様々な検索キーワードが規制の対象になっているとされる。例えば中国政府の幹部をイメージさせるキャラクターや、ろうそくなど追悼をイメージさせるものが規制されているといわれる。
 
 中国政府は国内のITベンチャー企業の育成に力を入れているとされる。その一方でVPNの規制強化は、こうした企業にとって中国で活動する意欲を削ぐことになりかねない。強い統制下のネット社会でこれからどのようなグローバルIT企業が成長するのか注目したい。
(写真は日本経営管理教育協会が提供 上海南京東路アップル店開業時)