広大な国土を有する中国では、東京ー大阪間の約400キロメートルほどの移動は長距離の範疇には入らない。なぜなら北京ー上海間でも約1300キロメートルもの距離があり、寝台列車を利用しても10時間以上はかかるためだ。
 
 しかし、京滬(けいこ)高速鉄道を利用すれば最短4時間49分で移動できるため、中国人にとっていかに高速鉄道の普及が利便性をもたらしているかが分かるだろう。新幹線と中国高速鉄道は何かと比較されることが多いが、中国からすれば高い技術力を持つアメリカで高速鉄道が普及していないことが不思議でたまらないようだ。
 
 中国メディアの天天快報はこのほど、「アメリカは先進国でありながら、高速鉄道が普及していないのはなぜか」と問う記事を掲載した。
 
 記事は、アメリカは科学技術も世界一流であるのに、世界の主要な工業国のなかで高速鉄道を持たない唯一の国だと主張、その理由をいくつか考察している。まず「土地が私有制であること」を挙げ、国土全域に鉄道を建設する難しさを指摘した。確かに中国では、土地は「人民のもの」であり、個人の所有権は認められておらず、政府としては土地が収容しやすく、高速鉄道の建設も容易なのは事実だ。
 
 また経済面で見ても、アメリカではすでに長距離の移動において「ハイウェイや民間航空が発展していること」を挙げ、アメリカの主要都市の位置と人口の分布を見ても内陸部の移動にはハイウェイや飛行機での移動が適していると指摘した。
 
 さらに、生活や文化の違いにも注目し、車社会であるアメリカでは車の所有率が高く、2014年の統計では自動車所有率は1人当たり0.8台であるのに対し、中国は0.1台とかなりの差があることを指摘。また中国の春節に故郷へ帰省するために毎年起きる、中国人の大移動「春運」がアメリカにはないという点も指摘し、このような要因によってアメリカでは高速鉄道が求められていないのだと伝えた。
 
 中国人にとっては春節時の帰省は最も厄介な事でもあり、列車に20時間、30時間乗る事も普通のことである。ゆえに高速鉄道の普及が中国人の「春運」にもたらした便利と快適さは人々の身に染みており、記事が主張した「春運がないなら高速鉄道は必要ない」という説明はしっくりくるようだ。こうしてみると国の文化や生活習慣が技術を進歩させるという要因もあると言えよう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)