中国で称賛されている日本の「匠の精神」。しかし、これほどまでに高く評価されている匠の精神が、中国では見られないのはなぜだろうか。中国メディアの寧化在線は19日、「ドイツ人と日本人には匠の精神があるのに、中国人にないのはなぜなのか」と題して、中国に匠の精神がない理由について分析する記事を掲載した。
 
 記事によれば、「環境的に匠の精神を持つべきではなかったため」だという。なかには、「民族性が違う」という主張もあるが、同じゲルマン民族でも、かつての西ドイツと東ドイツでは製品の質に大きな差が出たことは、民族性によるのではないことを示していると論じた。これは同じ中華民族でも、例えば中国と台湾や香港との間に大きな違いが見られるのと同じだろう。
 
 しかし記事は、中国人に能力がないわけではないと主張。3つの理由で匠の精神を示すことができなかったとした。その1つが、「中国の変化の速さ」だ。物に不足していたのはほんの一昔前だったが、今では過剰生産で困るほどになっており、急速に変わりゆく製造業に質を求める余裕がなかったという。
 
 2つ目は「中国にはチャンスが多すぎること」だ。儲けになる新たな産業が次々を出てきたため、この30年間中国は企業家の楽園となってきた。大儲けする機会をみすみす逃してまで質に固執する「愚か者」はいなかったというわけだ。
 
 3つ目は「中国の起業家の抱える不安」があるという。コネ社会の中国では、起業家が成功するには袖の下を通すことが不可欠だが、そのためにいつ役人と一緒に自分もお縄にかかるかも知れない不安を抱えているという。罪に問われるリスクを抱えながらすぐに結果を出さなければならない究極の状況下では「まじめに、コツコツ続ける」匠の精神は現実的ではなかったとした。
 
 上記の理由から、中国の過去30年間は「匠の精神がなかったのではなく、状況ゆえに匠の精神を持つべきではなかった」と記事は主張した。しかし、昨今では中国でも質を求める声が高くなっており、ますます匠の精神が求められるようになっている。中国はまず模倣などの安易な方法を止めることから始めるべきだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)