中国人旅行客による旺盛な消費は日本や韓国をはじめ、世界中に大きな恩恵をもたらしている。中国政府にとって今や中国人旅行客の存在は政治や外交のカードの1つだ。事実、高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」配備を決めた韓国や、中国と距離を置く姿勢を貫く台湾に対し、中国政府は旅行客の数を絞る措置を打ち出しており、韓国や台湾では旅行客によって潤っていた旅行産業や小売業が大打撃を受けている。

 また、中国は日本との関係が悪化した際も同様に、中国国内の旅行代理店に対して日本への旅行商品を取り扱わないよう通達を出し、日本でも小売業や宿泊業が打撃を受けたことは記憶に新しい。

 中国メディアの観察者は5日、中国人旅行客が減少している韓国や台湾は中国との関係悪化に怯えていると伝える一方、「なぜ日本だけは中国人旅行客の減少を恐れないのか」と疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事は、中国との関係が微妙になった韓国や台湾では中国人旅行客が激減しており、それによって営業停止に追い込まれる商業施設が相次いでいることを紹介。台湾には中国人だけをターゲットにした小売店が140−160社ほどあるものの、すでに40−50社は営業停止となっていることを指摘し、「2017年末までには100社が営業停止となる」見込みだと伝えた。

 さらに、台湾の旅行業界の関係者の話として、「中国人旅行客に依存してきたホテルやバス会社、小売店の多くが倒産に追い込まれている」と伝え、倒産まで追い込まれていなくとも、売り上げが激減しているのは共通であり、台湾の旅行業界は総悲観の状況であると紹介した。

 韓国や台湾と同様に、中国人旅行客の消費は日本経済にとって非常に重要だ。だが、日本が中国人旅行客の減少を過度に恐れていない理由としては、日本と中国が尖閣問題をめぐって関係が緊張した際、中国政府が日本への報復措置として中国人旅行客の渡航を制限したという過去があり、日本国内では「中国人旅行客に依存するということは大きなリスク」という認識があるためではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)