中国人旅行者による「爆買い」のブームが一巡したといわれる中、それでも莫大な購買力を持つ中国人旅行者を、いかに引き込むのか? これからは、いわゆる「マーケティング」のアイデアが問われることになる。5月26日に飛び込んできた台湾でNo.1のモバイルアドネットワーク会社であるVponと、中国の大手旅行サイトQunar.Com(チューナー)の戦略的連携は、日本の観光産業に新しいソリューションを提案できるだろうか。

 中国政府観光局のデータによると、2016年の中国人アウトバウンド旅行者数は延べ1.22億人。2017年には延べ1.27億人に一段と拡大するとみられている。この中国人旅行者は、日本の観光業界においても最大の貢献者になっている。日本にやってくる全旅行者の4人に1人は中国からの訪問だ。観光庁がまとめている「訪日外国人の消費動向」(2017年1-3月)によると中国人旅行者の1人当たりの旅行中支出は平均22万5500円(日本国内における宿泊/飲食/交通/娯楽/買い物の支出合計、うち買物代は53.2%の約12万円)に達している。

 Vponは、今回の提携によって、Vponの広告システムを活用し、クライアントの広告をQunar.Comのサイトやアプリに、より正確に露出することができるようになるという。クライアントは「旅マエ/ナカ/アトのすべての過程において大きなビジネスチャンスにリーチできるようになる」としている。

 Qunar.Comは、中国の検索大手である百度(Baidu)が2011年に出資した会社。2013年には米NASDAQに上場している(ティッカー:QUNR)。中国で海外旅行の人気が過熱する中、旅行者に最も人気のあるOTA(オンライン旅行会社)の1つに成長した。アプリのダウンロード数は15.7億に達し、月平均で4千万人を超えるユーザーが利用する中国で最大の旅行代理店の一つになった。100万を超える路線と117万件のホテル情報を持ち、中国観光業において大きな地位を築いている。
 
 Vponは、台北のほか、上海・香港・東京などに現地法人を持ち、東アジアで急成長を遂げている。旅行関連データべース(DMP)を構築し、アジアにおけるデータ量はすでに数千万人規模に達しているという。このDMPによって、Vponはアジアの旅行者の旅行中の行動をトレースし、様々な旅行者に向けて、最適な場所・最適なタイミングでモバイル広告を配信する強みがある。2015年にForbes誌「潜在能力のある中華圏未上場企業100選」の第3位、2016年Campaign Asia-Pacificのエージェンシー・オブ・ザ・イヤー銅賞を受賞している。

 VponのCEOの呉詣泓(Victor Wu)氏は、「Qunar.Comとの戦略的パートナーシップは非常にエキサイティングな提携だ。旅マエでは旅行への欲求をかきたて、旅ナカでは現地での消費を引き上げ、旅アトではユーザーロイヤリティを維持するためのコミュニケーションを行います。Vponと膨大なデータを有するQunar.Comとが連携することによって、より高いマーケティング効果が期待できる」と語っている。