(97)“从来没有见过的更可怕的眼晴”

  可是永远记得那狼眼晴,又凶又怯,闪闪的像两颗鬼火,似乎远远的来穿透了他的皮肉。(だがあの狼の眼のことはいつまでも忘れられない。凶悪なくせにおびえていて、キラキラと二つの鬼火のように光り、はるか遠くから皮と肉を突き刺すような気がした。)

  而这回他又看见从来没有见过的更可怕的眼晴了,又钝又锋利,不但已经咀嚼了他的话,并且还要咀嚼他皮肉以外的东西,永是不远不近的跟他走。(そして今、彼はまた見た。これまで見たことのないもっと恐ろしい目を。鈍くて、しかも鋭い、彼の言ったことを嚙(か)みくだいてしまったばかりか、彼の皮と肉以外のものまでも嚙みくだこうと、遠のきもせず近づきもせず、どこまでも彼のあとをつけてくるのである。)

(98)“这些眼晴们”

    这些眼晴们似乎连成一气,已经在那里咬他的灵魂。(これらの眼たちがさっと合わさったかと思うと、もう彼の魂に嚙みついていた。)

 “眼晴们”は眼を擬人化して、眼だけが人びとの身体から離れて動いているように描こうとしている。

 “救命,……”(助けてくれ、・・・)

  然而阿Q没有说。他早就两眼发黑,耳朵里嗡的一声,觉得全身仿佛微尘似的迸散了。(しかし彼の叫びは口から出なかった。彼の両の眼はとっくにくらみ、耳の中でガーンと音がして、全身がこなごなに砕け散ったような気がしただけであった。)

(99)“他们渐渐的发生了遗老的气味”

 この事件が及ぼした当時の影響はと言えば、最も大きかったのは、何と言っても挙人旦那であろう。

 とうとう盗まれた品物を取り戻すことができなかったので、一家の人びとはみな号泣したのである。次いで趙家である。秀才が役所に訴えようと城内に出かけたところ悪い革命党のために辮髪をちょん切られたばかりか、阿Q逮捕の時にかけた二十貫の懸賞金まで負担させられたのである。このため、一家の人びとはやはり号泣したのである。

  从这一天以来,他们便渐渐的都发生了遗老的气味。(その日以来、彼らは次第に前朝を懐かしむ遺老の気味を帯び始めたのである。)

(100)“不坏又何至于被枪毙呢?”

 世論はどうかと言えば、未荘では誰ひとり異を唱える者なく、もちろん阿Qが悪いとした。銃殺されたのが何よりの証拠である。“不坏又何至于被枪毙呢?”(悪くなければ銃殺されるはずがないではないか。)

 一方、城内の世論もあまり芳しくはなかった。多くの者が不満で、銃殺は首斬りほど見て面白くないと言った。

  而且那是怎样的一个可笑的死囚呵,游了那么久的街,竟没有唱一句戏:他们白跟一趟了。(それにあれはまた何というつまらない死刑囚であることか。あんなに長い間引き回されながら、芝居の歌一つ唱えないなんて。付いて回って損をした、というのであった。)

 以上で『阿Q正伝』の梗概(こうがい)の紹介をひとまず終わります。(執筆者:上野惠司)(イメージ写真提供:123RF)