2015年の流行語大賞に選ばれた「爆買い」という言葉は、中国人旅行客の購買能力の巨大さを形容した言葉だ。中国人旅行客が日本製品を爆買いしたのは中国製品にはない品質の高さや使いやすさが日本製品にあるためとされるが、中国の製造業界の各メーカーにとって「爆買い」という言葉は、自分たちが生み出す製品の質が日本製品に及ばないことを痛感させる言葉だったとも言えるだろう。

 旅行客による爆買いが減少していると言われるが、製造業界では中国メーカーが日本製品を爆買いする事例が今なお見られるという。中国メディアの観察者は5日付で、中国企業はなぜ日本の産業用ロボットを「爆買い」するのかと疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事は、日本メディアの報道を引用し、ファナックが産業用ロボットを「爆買い」する中国に対応するため、新工場を建設する計画を発表したことを紹介。中国では労働人口が減少しているうえ、人件費も上昇しているため、労働集約型の産業では若い労働力の確保が年々難しくなっていることは事実であり、こうした要因が産業用ロボットの活用に向けた動機になっていると論じた。

 一方、中国企業が日本の産業ロボットを爆買いしているとはいえ、中国にも産業用ロボットメーカーは存在すると指摘。2013年に中国メーカーが販売した産業用ロボットは1万台未満だったが、14年は1万6000台、15年は2万2000台、また16年は3万5000台と着実に販売台数を伸ばしていると紹介、「中国が産業用ロボットを製造できないということは決してない」と説明した。

 だが、中国の産業用ロボットメーカーはいずれも企業規模が小さく、スケールメリットを生かした生産ができないうえ、技術力も低いため半導体など極めて精密な作業が求められるハイエンド向けの産業用ロボットの分野では日本や欧州のメーカーに及ばないと紹介。だからこそ、中国企業は日本の産業用ロボットを「爆買い」せざるを得ないのだと伝えた。

 世界の産業用ロボット市場では日本企業が圧倒的な強さを誇る。企業別の世界シェアのトップ10に日本メーカーは6社もランクインしていることからも、日本企業の強さが見て取れる。だが、中国の美的集団は16年にドイツの産業ロボットメーカーであるKUKA(クーカ)を買収しており、産業用ロボット市場における中国メーカーの今後の発展に大きな影響を与えることは確実と見られる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)