日本経営管理教育協会が見る中国 第462回--坂本晃

■人類の誕生から

 地球上の生物として、人類は同種の存在である。地域や民族によるそれぞれの固有の文化なり、経済状況があるが、約46億年前と言われる地球の誕生から見れば、人類の誕生は、600~700万年前と遙かに最近のことである。

 人類はアフリカで誕生されたといわれているが、気候的に生存可能な地域に分散し、一人は永くて100年の寿命のなかで、世代を繰り返し今日に至っている。島国や大陸など地政学的な環境のなかで、固有の経済なり文化が育ってきた。火の発見から育ち始めた技術革新で、人類は大きく進歩発展することができた。

■共通の文字はハングル

 何時の頃から人類の言葉が発生したか、定説はできないでいる。人類は民族という分類が便利な方法を使用している。聖書に見られるような先祖が民族の起源ともいわれているが、日本人なら大和民族、朝鮮語を母語とする朝鮮民族、中国の漢民族、ゲルマン民族、ユダヤ民族、その他多くの民族が地球上には存在する。

 朝鮮民族の場合は朝鮮語で会話し、共通の文字として、15世紀半ば以前は漢字を用い、それ以降はハングルが使用されるように進められた。

 現在の中国は、国内に56ある少数民族に対して多少の自治を認め、中国在住160万人と言われる朝鮮族のなかで、北朝鮮と国境を接する延辺朝鮮族自治州では、家庭と小学校では朝鮮語を、中学校から中国語を教える体制とのことである。

 従って写真に示すように、役所に相当する建物の入り口の表示にハングルも併記されているのである。

■朝鮮半島、3つの地域の歴史

 新羅、百済、高句麗といった時代もあったが。李氏朝鮮の時代がひとつの朝鮮として14世紀から3世紀続き、1910年から1945年の間は日本が統治した。

 1945年、第2次世界大戦で日本が敗退し、米ソ冷戦時代の余波で、一つの民族にもかかわらず、南北朝鮮に分けられて、今日に至っている。

 人口は大韓民国の5,000万人、38度線を休戦地域として南北に分断され、南側の國として一人当たりGDP2.8万米ドルと先進国水準に達する経済発展を遂げたが、政情は不安定ともいえる。

 次いで朝鮮民主主義人民共和国は、北側の國として独立したが、その歴史は1932年4月25日に抗日遊撃隊を金日成が結成し、その日が建軍節として國の休日に指定されている。世界でも国民ひとり当たりの軍務に従事する人数は飛び抜けて多く、軍に就職するのが、最も安定的な仕事といわれている。

 独立以来、社会主義で金日成一族の独裁体制であるが、経済の発展はかなり遅れているといえよう。人口は2,500万人と南の約半分、一人当たりのGDPは、よく解らないが1千米ドル以下との推計もあるように、南北の格差は大きいといえる。

 こじんまりとした中国の延辺朝鮮族自治州は、北朝鮮と豆満江という大きな川とはいえない川で北朝鮮と国境を接している。冬になれば凍って徒歩で往来可能ともいわれ、國というような制度が未発達の時代には、自由に往来したであろう。日本が統治した時代は、旧満州国の建設に合わせて、多くの朝鮮民族が移住し、子孫を含めて中国の国籍を取得し、現在に至っている。

 吉林省の延吉や琿春といった町の商店などは、ハングルと漢字を併記しており、ソ連とも近いので、ロシア語の看板すら中国の町の中で見受けられる。

■世界の狭間で分裂の不幸

 日本は島国で、他の地続きで国境を接する国々に比べて、他民族との交流が少ないが、分裂の不幸を免れられる地政学的に有利なことは、幸いといえよう。(執筆者:日本経営管理教育協会・坂本晃氏)(写真は、中国の行政組織に大きなハングル文字。日本経営管理教育協会が提供)