日本経営管理教育協会が見る中国 第461回--水野 隆張

■北朝鮮の軍事パレードの観覧席に中国の訪問団はいなかった

 4月15日、平壌で金日成生誕105周年記念の軍事パレードが行われた。新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)と思われる装備まで登場したが、北朝鮮市民の目を引いたのは観覧席に例年顔をだしている中国の訪問団がいなかったことである。「もし中国にまで見放されたら、もうおしまいだ」という北朝鮮人民の嘆きは大きかったであろうと言われている。

 一方では、中国側が中朝間の密輸商を、前例のないほど厳しく取り締まっているため、貿易はますます不自由になり、中国との通信も困難になっているという。4月になって以降は中国とアメリカは同調して北朝鮮に圧力をかけている。その背景には米国の軍事的圧力とトランプ氏の貿易面での譲歩の前に、習氏は金正恩政権を見放すだろうとの見方が強まっているというのである。

■金正恩党委員長をあからさまに嘲笑する風潮が生まれているという

 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると北朝鮮の軍の一部に、金正恩党委員長をあからさまに嘲笑する風潮が生まれているという。これに対して当局はすぐに取り締まりを強めて、複数の幹部が逮捕されたという。報じられているところによると、金正恩氏のことを「幼稚園児」呼ばわりし、祖父の金日成主席と父である金正日総書記と合わせたくらいの暴虐だという意味で「チェコブ・キム」(キムの2乗)と、言いたい放題だということである。

 これに対して軍総政治局は驚愕しながらも大々的な調査を行って複数の軍幹部とその家族が逮捕されて極刑にされたと報じられている。北朝鮮の軍人にとっては米軍の航空母艦よりも、金正恩氏の方がよほど恐ろしいのかもしれない。それにもかかわらず「幼稚園児」呼ばわりする風潮があるというのならば、有事に際して、北朝鮮軍が金正恩氏に忠誠を尽くすかどうかは甚だ疑問であると言わざるを得ないであろう。

■北朝鮮は「核大国」の一歩手前まで来てしまった

 現状では、オバマ政権時代、米国は「北朝鮮を核保有国として認めない」と言いながら、中途半端な経済制裁で北朝鮮の核開発を放置してきた。口先ばかりの大統領の不作為と、中国の支援によって、北朝鮮は「核大国」の一歩手前まで来てしまった。これ以上放置すれば、国際社会は、異母兄を猛毒の神経剤VXで暗殺し、叔父に機関銃の銃弾90発以上を撃ち込み、遺体を火炎放射器で焼いた(韓国メディア報道)、「狂気の独裁者」金正恩氏に怯え続けることになるであろう。

■米朝チキンレースの結末はどうなる?

 米軍最強空母カールビンソンは現在北朝鮮を攻撃できる日本海を航行しており、中央日報(日本語版)は「最大規模の米軍特殊部隊が韓国に来る」と報じており、デルタフォースと、ネービーシールス、グリーンベレー、レンジャーなどが参加して「有事の際、金正恩氏をはじめとする北朝鮮戦争指導部を除去し、大量破壊兵器を破壊する訓練を実施する」と報じている。

 一方、北朝鮮の内閣機関紙である民主朝鮮は、「共和国を軍事的に圧殺しようとする犯罪的野望を実現するために膨大な核戦略資産と兵力を朝鮮半島に投入して地域の情勢を危機局面にへ追い込んでいる」と米国を糾弾する署名入りの論評を朝鮮中央通信が報じており米朝双方が相も変わらず強気の姿勢を崩してはいない。

 日米安保条約だよりの日本は米国の出かたを見守るしかないようだ。(執筆者:日本経営管理教育協会・水野隆張)(写真は、韓国から見た北朝鮮。日本経営管理教育協会が提供)