日本経営管理教育協会が見る中国 第460回--大森啓司

■トランプ政権初めての米中首脳会談が開催

 4月7日、トランプ大統領の別荘地のあるフロリダ州パームビーチで、首脳会談が開催された。

 この会談のキーワードは「100日計画」。ただ、具体的な内容については何も語られていない。今回は、米中会談の成果から感じる中国の美的なあいまいさについて論じてみたい。

■反中のトランプ氏に面談した習近平国家主席の意図

 中国では、習近平国家主席が米国に行くというだけで反中的なトランプ氏と会うために、わざわざ米フロリダ州まで出向いたというだけで、「米国にこびているのではないか」と国民からたたかれる可能性がある。ここは、習氏の米国への譲歩にみえるが、そのねらいに目をこらすとしたたかな計算があると考える。

 例えば、会談結果の米中の取り上げ方だ。米側は「中国への輸出を増やし、われわれの貿易赤字を減らす」など、首脳会談の華々しい戦果として「100日計画」を発表した。

 一方、中国の国営メディアは「両首脳は貿易摩擦を適切に処理し、互いの利益となる成果を挙げることで合意した」というコメントを紹介しただけだ。

 そもそも、100日計画とは何なのか。中身が明らかになっていないどころか、その目的すら「貿易不均衡の是正」なのか「経済協力の推進」なのかで米中の主張がかみ合わない。そういう意味で習氏は何も具体的な約束をしなかった「あいまいな譲歩」という説明に集約される。

 首脳会談の前には、習氏が「おみやげ」を持っていくのではないか、との噂もあった。しかし、ふたを開けると何も出てこなかった。これは、敬意は表するが、何もしない事を意味している。

■オバマ政権時には出てきた具体策

 習主席がオバマ政権の時代には、中国国有企業がボーイング社から航空機300機を買うという契約をお土産に持ってきた。オバマ氏も経済協力をマクロ面から俯瞰し、具体的な政策に落とし込んでいる。

 しかし今回は逆。「100日」という具体的な期限だけが明示されが、その内容については、玉虫色と言わざるを得ない。今回は何事もなくお互いの友好を深めましょう!といった感じで終わってしまった。

■貿易不均衡でも揺らがない習氏の権威

 中国の国営メディアが「100日計画」になるべく触らないようにしているのは、中国が一定の譲歩をした(訪問した)のは事実だが、あくまでも「あいまいな譲歩」に誇示していると感じられる。

 習氏が最優先しているのは対米関係の安定、100日計画は米国に花を持たせるが具具体的な「実」はあげない。

 今回の会談は、中国ならではの戦術と感じるのは私だけだろうか?(執筆者:日本経営管理教育協会・大森啓司)(写真は北京南苑空港聯航のボーイング航空機。日本経営管理教育協会が提供)