中国では「自動車のボディの鋼板が厚い=安全」と考える消費者は今でも存在する。そのため、自動車を購入する際に鋼板の厚さにこだわる人や、実際に押してみて凹まないかを確認するという話も珍しくない。

 ちょっとでも知識のある人ならば、時速数十キロで走行中の重さ数トンの車が何かに衝突した時に生じるエネルギーは、いくらぶ厚い鋼板でも吸収しきれないことは容易に想像がつく。だが、中国では「鋼板は厚ければ安全で、車重も重ければ重いほうが安全」と単純に考えている人がいるのは事実だ。中国メディアの今日頭条は21日、広く信じられている「自動車のボディの鋼板が厚い=安全」という噂が本当なのかを考察する記事を掲載した。

 記事は、「証明された事実だけを伝える」と前置きしたうえで、購入にあたって誰もが重視する「自動車の安全性」について、一般的な中国人消費者と専門家の意見は異なっていることを指摘。専門家は「日系車は安全性が高く、それは各国の衝突テストの結果が証明している」と指摘していることを紹介する一方、中国人消費者は「日系車は安全性で他国の車に大きく劣っている」と誤解していると指摘。こうした誤解は主に「大きな事故に遭って、激しく損傷した日系車の写真」などがネット上で広まっていることなどが原因との見方を示した。

 誤解やデマに惑わされず、自動車の真の安全性を判断するにはどうすれば良いのだろうか。記事は、最も客観的に判断ができるのは、欧州の自動車安全テスト(ユーロNCAP)や米国道路安全保険協会(IIHS)による試験結果を参考にすべきだとした。こうした機関の衝突テストは非常に厳格であり、「全方位的」な安全性能を評価するものだが、日本の自動車メーカーは各テストで非常に良好な結果を得ていると指摘し、科学的な見地に基づく衝突テストは「手で押して凹まないかを確認する」といった原始的な方法とは違うのだと論じた。

 記事は、自動車の安全性を評価するうえでは、事故による自動車の損傷具合よりも、「衝突のエネルギーをいかに分散させ、いかに車内に伝わらないようにするか、いかに人命を守ることができるか」を評価するよう勧めつつ、結論として「車内の人員の安全は鋼板の厚みに依存するものではない」と強調した。

 衝撃吸収という極めて合理的な考えは、日本では常識として受け入れられているが、中国ではまだ理解不足の人が多いようだ。このような内容は中国で定期的に報じられているが、中国でも徐々に理解が広まっていくことに期待したい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)