中国でよく使われている慣用句として「馬を速く走らせたいなら、馬に草をたくさん食べさせなくてはならない」という言葉がある。また、これに類するものとして「馬を速く走らせたいが、草も食べさせたくない」という慣用句もあり、たとえば企業経営の質を向上させたいと願いながら、その代価として必要なコストをケチるという矛盾を指摘するときなどに用いられる。

 中国では高速鉄道の一部路線における値上げが波紋を呼んでいるが、中国メディアの国際在線が1日付で掲載した記事はこの慣用句を用いて、中国高速鉄道の運賃値上げを擁護する見解を示した。

 記事は、中国高速鉄道の一部路線の乗車運賃が4月21日から値上げされることになり、二等座は30%近く値上げ、また一等座の値上げ幅は60%を超えると紹介。中国ネットユーザーたちの間では「なぜ値上げが必要なのか」というテーマのもと議論が行われており、なかには「高速鉄道には十分な売り上げがあるはずだ」と値上げに異論を唱えるネットユーザーも数多く存在すると説明した。

 値上げへの反発に対して、記事は新幹線を引き合いに出し、東京から大阪までの1キロメートルあたりの運賃は1.6元(約26円)だと紹介、またドイツの高速鉄道の場合ベルリンからハンブルクまでは1キロメートルあたり2元(約32円)であると伝える一方、中国の場合は北京から上海までの1250キロメートルの区間は1キロメートルあたり0.46元(約7円)にとどまると指摘。中国高速鉄道の運賃は基本的に国際平均価格をはるかに下回ると説明した。

 また値上げ後の運賃も、同区間を走行する長距離バスの運賃に比べればはるかに安く、また時間もはるかに短いと指摘。もしこの値上げが市場原理に背かないのであれば引き続き乗客を獲得できるに違いないと論じ、「馬を速く走らせたいが、草も食べさせたくない」という方法では「中国高速鉄道の運営は長続きしない」と結論した。

 例えば福州ー厦門間は約226kmの距離だが、中国高速鉄道の運賃は二等座で66元(約1060円)と安く、所要時間も約1時間30分となっている。一方、日本の場合は東京ー新横浜間の28.8kmで、運賃と自由席利用時の特定特急料金を合わせると1360円となる。金額だけを見れば中国高速鉄道の運賃が新幹線に比べて安いことが分かるが、日本と中国の物価水準は違ううえ、中国人の所得水準から考えれば中国高速鉄道の運賃は決して安いものではなく、だからこそ値上げに異論を唱える中国人ネットユーザーも数多く存在するといえよう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Brian Kinney/123RF.COM)