(69)“秀才娘子的宁式床也抬出来了”

  又仔细的看,似乎许多白盔白甲的人,络绎的将箱子抬出了,器具抬出了,秀才娘子的宁式床也抬出了,但是不分明,他还想上前,两只脚却没有动。(さらに目を凝らして見てみると、おおぜいの白い兜に白い鎧の男が、次から次へと衣裳箱を担ぎ出し、家財道具を担ぎ出し、秀才の女房の寧波式の寝台まで担ぎ出しているようだ。だがはっきりとは見えないので、もっと前へ出てみようと思ったが、両足が動かなかった。)

 この夜は月がなく、未荘は闇の中に静まり返っていた。阿Qは立って見ていたが、さっきまでと同じ状態で、相変わらず行ったり来たり、次々と担ぎ出しているようだ。あんまり担ぎ出すので、自分の目が信じられないくらいであった。

(70)“白盔白甲的人明明到了”

 けれども阿Qは、もうこれ以上近づくまいと決心して、ねぐらの土地廟へと引き返した。

 土地廟の中はいっそう暗かった。彼は表門をちゃんと閉めて、手探りで自分の部屋にもぐり込んだ。しばらく横になっていると、やっと気が落ち着いて、自分の事が考えられるようになった。

 白盔白甲的人明明到了,并不来打招呼,搬了许多好东西,又没有自己的份,――这全是假洋鬼子可恶,不准我造反,否则,这次何至于没有我的份呢?(白い兜に白い鎧の人は確かにやって来たが、自分に声をかけてくれなかった。たくさんのめぼしい品物を運び出したが、自分の分け前はない。――これはみなあの憎いニセ毛唐が、自分に造反を許さなかったからだ。でなければ、どうして今回自分の分け前がないなんてことがあろうか。)

(71)“不准我造反,只准你造反?”

 阿Qは考えれば考えるほど腹が立ってきて、しまいには腸(はらわた)が煮えくり返らんばかり、にくにくしげにうなずいて、こうつぶやいた。

  不准我造反,只准你造反?妈妈的假洋鬼子,――好,你造反!造反是杀头的罪名呵,我总要告一状,看你抓进县里去杀头,――满门抄斩,――嚓!嚓!”(俺には造反させないで、てめえだけ造反するのか。いまいましいニセ毛唐め、――よし、おまえは造反した! 造反は首をちょん切られるんだぞ、俺はきっと訴えてやる。おまえなんか役所へ引っ立てられて首をちょん切られるんだ、――一家皆殺しだ、――バサッ!バサッ! とな。)

(72)“在半夜里忽被抓进县城里去了”

 趙家が掠奪に遭ってから、未荘の人々はたいてい胸がすく思いがしながらも、やはり恐怖心を抱いた。阿Qも胸がすく思いがしながらも、やはり恐怖心を抱いた。ところが、事件から4日後、阿Qは夜中に突然捕らえられて県城へ連れて行かれた。

 たまたまその時は闇夜で、一隊の兵士と、一隊の自警団と、一隊の警官と、五人の探偵とが、ひそかに未荘に繰り込み、闇に乗じて土地廟を包囲し、入口の正面に機関銃を据えつけた。けれども阿Qは飛び出してこず、長い間、何の動きもない。隊長は焦立って、銅銭二十貫の賞金を懸けた。それでようやく二名の自警団員が危険を冒して塀を乗り越え、内外呼応して一斉に踏み込み、阿Qを引きずり出してきた。そのまま外の機関銃のそばまで引きずってこられた時、彼はやっと目が醒めたのだった。(執筆者:上野惠司)(イメージ写真提供:123RF)