中国では近年、抗日ドラマの荒唐無稽ぶりが問題となっており、破天荒な描写が含まれる抗日ドラマは「抗日神劇」と揶揄(やゆ)されている。こうした抗日神劇には中国の政府関係者も頭を悩ませているようで、中国人民解放軍の地域別統合作戦指揮組織の1つである中国東部戦区政治工作部は3月、「抗日神劇」を厳しく批判する見解を示した。

 中国東部戦区政治工作部は簡易投稿サイト・微博(ウェイボー)で「抗日戦争はかつて中国人民に巨大な傷を負わせ、また先人たちは国を救うために命を犠牲にした。これらの輝かしい歴史は中国の全民族の宝であるゆえに、悪意のもとにこれを冒とくすることは決して許されないことだ」という主旨の一文を掲載した。

 中国メディアの今日頭条は3日付で「抗日神劇」について批判する記事を掲載し、「抗日神劇は敵であった旧日本軍ではなく、むしろ中国人を侮辱している」と主張、抗日ドラマのあり方に疑問を呈した。

 記事は、中国人の多くは「抗日神劇と聞くと、さまざまな奇想天外な場面を連想する」と説明、たとえば中国の兵士が饅頭やキュウリ、ニンジン、トマトを手榴弾として用いるというシーンや、数多くの武術の達人が登場し、手刀で日本兵を真っ二つに切り裂くなど、さまざまな必殺技を駆使して日本兵を打ち破るというシーンに言及した。

 一方、日本で制作された戦争映画を紹介、例えば「硫黄島からの手紙」や「男たちの大和」、「永遠の0」などについて「自分たちを小さく、無力な存在として描いている」と指摘し、「抗日神劇とはまったく対照的であり、これらの映画は極めて謙虚である」と称賛。逆に抗日神劇は「中国の大衆を侮辱する」内容となっていると批判した。

 抗日神劇は当然、中国の子どもたちの目にも触れるだろう。では、子どもたちはこのドラマを見た時に、戦争に対する嫌悪感を抱くだろうか。むしろパロディーとして楽しさを感じてしまい、戦争の残酷さや悲惨さに対する理解のない子になってしまうのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)