中国のネット上ではしばしば、日本は伝統技術を現代までしっかり守っていると評し賞賛する文章を見かける。しかし、日本にも失われてしまうかもしれない伝統技術がたくさんあるのだ。中国メディア・文匯報は3月30日、「うちわに表れる、日本の手工業の苦境と希望」とする記事を掲載した。

 記事は「衰退は伝統的な手工芸が工業化の時代において避けては通れない命運であり、匠の精神の誉れ高い日本でも工業化の侵襲に抗うことは難しいのだ」としたうえで、その例としてうちわ技術の状況について紹介。日本三大うちわ産地とされる熊本県山鹿市の豊前街道では、全盛期には17あったうちわ業者が今ではわずか1軒しか残っていないとした。

 約130年近い歴史を持ち、現地で唯一生き残っている栗川商店も、扇風機やエアコン、量産されるプラスチック製のうちわなどに押され、全盛期に比べてうちわの販売が30分の1にまで減少するなど苦境に立たされていることを伝えた。また、ニーズの低下とともに後継者不足の問題も抱えているとし、積極的に若い人材を呼び込んでいることを紹介した。

 一方で「近年、日本社会は自身の伝統と文化を見つめなおす風潮が起こっており、多くの若者が日本の伝統工芸の貴重さを知る重要な契機になっている」と説明。特に、自然災害の多い日本では「災害発生後、人びとは家族や文化伝承の重要性を再認識するのだ」と栗川商店のうちわ職人が語ったことを伝えている。

 先日、イタリアの高級ブランド・グッチが2万8080円のうちわを発売したことが記憶に新しい。奇抜なデザインはさておき、海外の高級ブランドとのコラボレーションは、日本の伝統技術をより広く知らしめるうえで有効な方法かもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)