インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画はもともと日本の受注が確実視されていた。だが、後から競争に参入し、インドネシア政府に債務保証を求めないなどの魅力的な条件を提示した中国が結局は受注することになったが、建設工事が予定どおり進んでおらず、中国がインドネシアに提案した2019年の開業は難しい状況となっている。

 中国メディアの一点資訊はこのほど、中国がジャワ島で建設する高速鉄道は「インドネシアの心を米国から引き離し、中国の元へ引き寄せる」ことに寄与するか否かについて考察する記事を掲載した。

 記事は、米国のオバマ前大統領がアジア回帰を打ち出した後、インドネシアも形式上は米国を支持する姿勢を見せ、南シナ海問題で中国を批判する姿勢を見せたとしながらも、実際にインドネシアは行動に移さなかったと主張。東南アジアの国々は政治面では米国に追随する一方で、経済面では中国の成長を取り込みたいと願っていると主張し、その外交方針は常に揺れ動いているものだと主張した。

 続けて、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領にとっての外交面における重点はあくまでも経済であり、中国こそアジアの経済成長のエンジンであることを認識しているはずだと主張。中国が一帯一路戦略を推進するなか、インドネシアはその受益者となる存在だと指摘したほか、ジャワ島の高速鉄道計画においても中国はインドネシアに技術と資金、そして雇用をもたらすと主張。

 米国のアジア回帰の行方は不透明ではあるものの、中国が推し進める「平和的発展」の方がインドネシアにとって魅力的であるのは間違いないと主張し、ジャワ島の高速鉄道は「インドネシアの心を米国から引き離し、中国の元へ引き寄せる」ことに一定の役割を果たすはずだと期待を示した。

 記事は、ジャワ島の高速鉄道計画があくまでも「順調に進展している」という前提で、インドネシアの心を中国の元へ引き寄せることに寄与すると主張しているが、果たしてその前提は正しいのだろうか。日本国内ではジャワ島の高速鉄道計画は遅れが生じているという報道も多く、インドネシアは中国側に不満を募らせているという指摘も見られる。

 また、産経新聞は25日、インドネシアのルフット調整相の発言の内容として、ジャカルタとスラバヤを結ぶ既存鉄道の高速化事業を日本に要請することをウィドド大統領が決めたと報じている。日本が高速化事業を受注するとなれば、ジャワ島の高速鉄道計画が「インドネシアの心を中国の元へ引き寄せる」ことができるという記事の主張には疑問符がつくうえ、むしろ日本が中国に雪辱を果たした形となるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)chuyu/123RF.COM)