日本経営管理教育協会が見る中国 第455回--三好康司

 2017年3月10日に札幌へ出張した。昼食は、行列の並ぶラーメン店で添付写真の札幌ラーメンを食べた。「札幌ラーメンはやはりおいしい」と感動しながら、ふとラーメンは日本と中国の最大の文化交流の一つではないかと考えた。今回は、ラーメンの歴史を少し綴ってみようと思う。

1.麺の発祥

 麺の起源は、中国発祥、イタリア発祥、その他シルクロード沿いの地域発祥と諸説あるようである。中国とした場合、中国北部・黄河流域が麺のルーツと言われており、小麦を原料とした様々な食品が発達した。中国の文献に最初に麺の名前が出てくるのは2世紀頃、その後、南北朝の北魏代の550年頃に「斉民要術」という農業・食物書に「小麦粉をよくふるい、さめた肉の煮出し汁でよくこね、箸の太さほどの棒状にし、水を張った器の中で、指でもみ押さえながら引き延ばす」と具体的に麺の作り方が記載されている。中国における麺の長い歴史がよくわかる。

2.わが国のラーメンの起源

 わが国では、1665年に水戸光圀が日本人として初めて中華麺を食べたと言われている。儒学者の朱舜水が、光圀の接待に対して自国の汁そばをふるまったものだが、庶民にまで中華麺が広まることはなかった。1872年、明治維新により開国された港町に中国人街が出現、横浜南京街に数軒の中華料理店が営業を開始する。明治中期になると、横浜南京街で「南京そば」という名称でラーメン屋台が引かれ初め、1910年には、東京浅草で初めて店舗を構えたラーメン店が開業した。その後、栃木県佐野、札幌、福島県喜多方、大阪、九州と全国でラーメン店がオープンし、わが国においてラーメンが根づいていったようだ。

3.インスタント・ラーメン

 ラーメンにとってのエポック・メイキングな出来事は、1958年のインスタント・ラーメンの出現である。「お湯をかけるだけで食べられる」という簡便さが受け大ヒット商品となった。筆者も子供の頃よく食べたが、インスタント・ラーメンにより、日本人のラーメン好きな嗜好が強まっていったように感じる。現在では、世界で977億食のインスタント・ラーメンが生産されている(2015年、World Instant Noodles Association調べ) 

 国別にみると、わが国の生産量は55億食であるのに対し、中国・香港では404億食と世界の40%強を占めるインスタント・ラーメンが生産されている。

 中国からわが国に伝来した麺が、日本人好みの味を加え、独特の進化をとげたラーメン、その後、家庭でも簡単に作れ、食べることができるインスタント・ラーメンが日本で開発され、今では中国・香港で世界一生産されている。「わが国と中国の長い交流のシンボルの一つがラーメンでないか」と改めて感じた一日であった。(執筆者:日本経営管理教育協会・三好康司)(写真は、札幌ラーメン。日本経営管理教育協会が提供)