(45)“吴妈长久不见了”

 秀才の女房の寧波式の寝台と銭家だか趙家だかのテーブルと椅子を小Dに土地廟まで運ばせて・・・、阿Qの妄想は続く。

  “赵司晨的妹子真丑。皱七嫂的女儿过几年再说。假洋鬼子的老婆会和没有辫子的男人睡觉,吓,不是好东西!秀才的老婆是眼胞上有疤的。……吴妈长久不见了,不知道在那里,――可惜脚太大。”(趙司晨の妹はブスだ。鄒七嫂の娘はまだ2、3年早い。ニセ毛唐の女房は辮髪のない男と寝やがって、ペッ、ろくな奴じゃない。秀才の女房はまぶたにできものの痕(あと)がある。……呉媽(ウーマ)は長いこと見ないが、どこにいるのやら、――惜しいことに足がデカすぎる。)

 呉媽の足が大きすぎると言っているのは、彼女が労働者で纏足(てんそく)をしていないからである。

(46)“有意无意的走到静修庵”

 考えが十分にまとまらないうちに、阿Qはもういびきをかいていた。ろうそくはまだ半分も減っていず、赤い炎がぽかんとあいた口を照らしていた。

 「ホォーッ!」と阿Qは突然大声をあげ、あわててあたりを見回したが、ろうそくが目につくと、またそのまま寝入ってしまった。

 明くる日、彼は遅くに起きた。通りに出てみたが、何もかも元のままである。腹もいつものとおりへっていた。じっと考えてみたが、うまい考えは思い浮かばない。だが、ふと考えが決まったらしく、ゆっくりと歩きだし、いつのまにか静修庵に来ていた。

(47)“望进去只有一个老尼姑”

  庵和春天时节一样静,白的墙壁和漆黑的门。他想了一想,前去打门,一只狗在里面叫。他急急拾了几块断砖,再上去较为用力的打,打到黑门上生出许多麻点的时候,才听得有人来开门。(庵は春の時と同じように静かだった。白い塀にまっ黒い門。彼はしばらく思案してから、近づいて門を敲いた。犬が中で吠えた。彼はあわてて煉瓦(れんが)のかけらをいくつか拾い、もう一度近づいて、こんどはもっと力を込めて叩いた。黒い門にいくつもの点々が出来た頃、ようやく誰かが門を開けにくる気配がした。)

 阿Qは急いで煉瓦を握りなおし、黒犬との戦闘にそなえた。だが犬は中から飛び出してこず、のぞいてみると、年寄りの尼がいるだけであった。

(48)“你们要革得我们怎么样呢?”

 “你又来什么事?”(おまえさん、また何をしに?)、尼さんはびっくりして言った。

 “革命了……你知道?……”(革命だ・・・知ってるかい?・・・)、阿Qは口ごもって言った。

 “革命,革命,革过一革的,……你们要革得我们怎么样呢?”(革命、革命って、カクメイはもういっぺん済んだよ、・・・このうえわたしたちをどうカクメイしようというの?)

 尼さんは目をまっ赤にして言った。
 “什么?……”(何だって?・・・)、阿Qは不審に思った。

 “你不知道,他们已经来革过了!”(知らないのかい、やつらはやってきてもうカクメイしていったんだよ!)(執筆者:上野惠司)(イメージ写真提供:123RF)