(41)“像我们这样穷朋友是……”

 「Qさん、このところ……景気はいいかい?」趙太爺がおずおずとたずねると、阿Q、
 “发财?自然。要什么就是什么……”(景気?決まってら。欲しいものは何だっておれのものさ・・・)
趙白眼が、革命党の口裏を探るかのように、おそるおそる言った。

 “阿……Q哥,像我们这样穷朋友是不要紧的……”(阿・・・Qの兄貴、おれたちみたいな貧乏人は大丈夫だろうな・・・)
阿Qはつれなく答えて立ち去る。
 “穷朋友?你总比我有钱。”(貧乏人?おまえさんはおいらよりずっと金持ちじゃねえか。)

(42)“留几条么?”

 阿Qの態度に、趙家の人々はみな打ちしおれて、黙り込んでしまいます。

 趙太爺と息子の秀才は家に帰ると、灯をともす頃までいろいろ相談した。趙白眼も家に帰ると腰から“搭连”(銭入れ)をはずし取って、女房に渡して長持ちの底に隠させます。

 阿Qは“飘飘然”ふらりふらりと飛び回った後、土地廟へ帰ってきますが、もう酔いはすっかり醒めています。

 その晩は廟の管理人のおやじもとびきりあいそがよく、わざわざお茶を出してくれます。図に乗った阿Qは餅(ビン)を二個所望し、食べ終わると使いかけのろうそくとろうそく立てを持ってこさせて火をともして、自分の小部屋に寝そべります。

(43)“阿Q!同去同去!”

 “造反?有趣,……来了一阵白盔白甲的革命党,都拿着板刀,钢鞭,炸弹,洋炮,三尖两刃刀,钩镰枪,走过土谷祠,叫道,‘阿Q!同去同去!’于是一同去。……”(造反? 面白れえ、・・・白い兜(かぶと)と白い鎧の革命党がわっと乗り込んできた。みな手には青竜刀、鋼(はがね)の鞭、爆弾、歩兵銃、三つ又の剣、鎌槍を持って土地廟を通りかかると、「阿Q、一緒に来い、一緒に来い」と叫ぶ。そこでおれも一緒に行く。・・・)

 「そうなると、未荘のロクでなしどもは見ものだな、土下座して、『阿Q、命だけはお助けを!』と叫ぶだろうな。誰が聞いてやるものか! 真っ先にやっつけるのは小Dと趙太爺だ。それから秀才とニセ毛唐、・・・何匹か残してやるか? 鬍の王は残してもいいが、やっぱり残すこともなかろう。・・・

(44)“自己是不动手了”

 “东西,……直走进去打开箱子来:元宝,洋钱,洋纱衫,……秀才娘子的一张宁式床先搬到土谷祠,此外便摆了钱家的桌椅,――或者也就用赵家的罢。自己是不动手的了。叫小D来搬,要搬得快,搬得不快打嘴巴。……”(品物は、・・・どんどん踏み込んでいって箱をぶちあけるんだ:馬蹄銀、西洋銀貨、上絹の上着、・・・秀才の女房の寧波(ニンポー)式の寝台をまず土地廟へ運んできて、次に銭家のテーブルと椅子を並べるんだ、――それとも趙家のにするか。自分ではやらないで、小Dに運ばせる。早く運べばよし、遅いとビンタだ。・・・)

 “宁式床”は浙江省寧波一帯で造られた高級寝台。さまざまな彫刻や細工が施されている。(執筆者:上野惠司)(イメージ写真提供:123RF)