タイとマレーシアの両政府は両国の首都を結ぶ総延長約1500キロメートルの高速鉄道建設について協議を始めるという。また、2026年開業予定のクアラルンプール-シンガポール間の高速鉄道計画も進行中であり、東南アジアの高速鉄道市場を巡る日本と中国の受注競争は今後、より激しさを増すことになりそうだ。

 中国メディアの中国頭条はこのほど、日本と中国による東南アジアでの「高速鉄道争奪戦」に関する記事を掲載し、日中双方ともに勝者ではないと論じている。

 高い技術と信頼性、そして経験を兼ね備えた新幹線だが、、高速鉄道分野で急速に力をつけた中国と日本は、受注を争う最大のライバルだ。実際、これまでタイ、シンガポール、インドネシア、マレーシアなど東南アジアの国々で、日中は受注を巡る「争奪戦」を繰り広げてきた。

 しかし、この受注獲得競争の激しさは双方にとって過度の負担になっているようだ。例えば、最近日本が受注したインドの高速鉄道計画では、総事業費の81%を金利0.1%、返済期間50年という条件を提示して日本が獲得したと紹介しつつ、「これは破格の条件であり、ほとんど無償で提供しているようなものだ」と主張。日本が受注競争に勝ったと言えるのかと疑問を呈した。

 これは中国側も同様で、インドネシアの高速鉄道計画では、インドネシア政府の債務保証を求めないなど破格の条件を提示し、日本に競り勝って受注を獲得した。しかし、資金回収という面では大きなリスクがあると記事は指摘。また、タイでも中国は「コメと高速鉄道を交換する」ことで高速鉄道計画を一度は受注したものの、のちに高速鉄道を含む大型公共事業への投資が違憲だと判断され、行き詰っていると伝えた。

 したがって記事は、日中の高速鉄道受注競争は「敵を1000人殺しても自軍が800人殺される」ようなもので、建設的ではない競争になっていると指摘。日中双方とも勝者とはなっておらず、高速鉄道を導入する国だけが漁夫の利を得ていると主張した。

 結論として記事は、中国高速鉄道の海外進出には、知的財産権のある基幹技術を掌握すること以上に、「現地の条件に合わせた、相互にとってプラスになる」受注が必要になると論じた。相手との受注競争に勝つことだけでなく、理性的な受注をすべきだというのは、日本としても同じことが言えるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)