外国人、特に中国人の日本に対する印象ではしばしば「親切」という言葉が登場する。しかしその一方で、「冷たい」という感想もよく見聞きする。その二面性はいったいどこから来ているのだろうか。台湾メディア・聯合新聞網は11日、「日本人の親切心は義務感によるもの」とする記事を掲載した。

 記事は、日本に住む姉を頼り、幼児2人を連れて日本旅行にやって来た台湾人女性の経験談を紹介。ベビーカーを押しながら東京の地下鉄に乗ったが、混雑ぶりに難儀したうえ「数十分電車に乗っていたが、誰も席を譲ってくれなかった」とした。また、ホームではエレベーターを探すも見つからず、ベビーカーを持って階段を上るも乗客は誰も手伝ってくれなかったうえ、何度も乗客にぶつかられたと伝えている。

 やがて、困っている様子に気付いた駅員に助けてもらうことができたというが、この女性は「どうして駅員はこんなに親切なのに、乗客はこんなに不親切なのか」とつぶやいたとのことである。

 記事は「日本人の礼儀正しさや行き届いたサービスは春風のようだが、初めて日本を自由旅行した人は逆に人びとの冷淡さを感じ、その『温度差』にうろたえる。特に子連れのばあいはそれが強くなるのだ」と説明。さらに、「日本人の親切心は義務感によるもの、台湾人の親切心は天性によるもの」としてこの女性を慰めたことを紹介した。

 記事曰く、駅員の親切心は仕事上の義務感によるものに過ぎない、日本では「他人に迷惑を掛けないこと」の教育が重視されているが、裏を返せば「他人は、自分に対して迷惑を掛けるようなことをするなと思っている」とのこと。通勤時間帯に電車に乗るならはその環境に耐えなければならないし、「ベビーカーを運ぶことで他人に迷惑が掛からないよう」自分で何とかしなければならないのだと解説した。

 台湾人女性はどうやら、ラッシュの時間帯にベビーカーで電車に乗ってしまったようだ。ラッシュ時間帯のベビーカー使用については、その是非を巡った議論が繰り広げられている。しかし、台湾からやって来たこの女性は、そんな議論が存在することなど知る由もない。異なる文化背景を持つ外国人に「そのぐらい察しろ」と言うのはあまりに乱暴だ。

 日本は今、外国人観光客を積極的に呼び込んでいる。特に2020年に五輪を開催する東京は、その筆頭格だ。今後ますます外国人観光客の増加が見込まれる中、しばしば外国人から指摘される日本人の「冷たさ」について、日本人としてもう一度考えてみる必要があるのではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)