日本経営管理教育協会が見る中国 第449回--宮本邦夫

 一昨年話題となった中国人による「爆買」も、すっかり影を潜め、デパートや家電専門店などでは、戦略の練り直しが行われている。「爆買」が影を潜めたといっても、訪日中国人の数は、相変わらず増え続けている。その目的は、依然として観光中心であるようだが、このままでは、中国人の訪日客数も減少することが懸念されており、何らかの対策を打つ必要がある。今後は「コト消費」に移行することが予想されているので、この問題について、以下で考えてみることにしよう。

■体験を中心にしたものを“売りもの”に

 「コト消費」というのは、簡単に言えば「モノゴト」のうちの「コト」に金を使うことであるが、観光もその1つである。観光は「観る」ということだけであるが、今後は何かを「する」つまり「体験する」というのが、大きなポイントになる。換言すれば、「体験を中心にしたものを“売りもの”にする」ことが求められるとのである。例えば、「和服を着ての街歩き」が挙げられる。浅草に行くと、中国人と思しき女性たちが、着物を着て人力車に乗って嬉々としている光景を見かける。和服を着るという体験に満足している姿は、見ていて微笑ましい。

■より日本的なものを選択する

 中国人の訪日客に対して、どのような「コト」を提供するかについて、大きな方向性を示せば、「より日本的なもの」と答えるのが自然だろう。すなわち、中国では、体験できない日本独自の「コト」を選択するということである。例えば、地域の祭りへの参加が考えられる。具体的には、神輿担ぎ、山車曳きなどが考えられる。地域の祭りに参加すれば、その地の歴史、伝統文化などを知ることができ、日本およびに日本人への理解をさらに深めることが期待できる。また、各地に和紙作りをしている地域があるが、和紙漉きの体験などを取り上げてもよいだろう

■リピーターを呼び込むために

 「コト消費」対策で忘れてならないことは、リピーターの呼び込み対策である。つまり、何度も来たくなるような「コト」を戦略的に考えていくということが必要である。そのための対策の1つとして挙げられるのが、体験の難易度によって等級を付けるという「コト」を開発することである。例えば、初心者クラス、中級者クラス、上級者クラスなどの体験コースを設けて呼び込むということである。「コト」の上達度が体得できることは、リピートの重要な動機になるはずである。(執筆者:日本経営管理教育協会・宮本邦夫氏)(写真は、観光客で賑わう旭山動物園。日本経営管理教育協会が提供)