日本経営管理教育協会が見る中国 第447回--三好康司

 2017今年1月8日(日)の21時から放送された「NHKスペシャル/巨龍中国~14億人の消費革命~」という番組を見た。中国で爆発的に発展しているインターネット通販の購買層が、都市部から農村に広がっているという話であった。一年の最大イベント、“独身の日(11月11日)セール”に向け着々と商品手配を進める若き企業家たち、そのビジネスに一抹の不安定さを感じるのは私だけであろうか?

1.拡大する中国通販市場

 中国では、スマートフォンの普及により、インターネット通販は3人に1人が利用、市場規模は60兆円に達している。わが国の通販市場規模は15兆円弱であり、人口の違いを差し引いても中国のインターネット通販市場が急激に伸びていることが分かる。日本の場合は、職域通販やカタログ通販からインターネット通販に進んでいったが、中国の場合はカタログ通販を通り越し、いきなりインターネット通販に進んだところが特徴だ。中国政府は、かつての安い人件費を武器とした輸出中心の発展から、内需拡大による発展へと構造転換を図っており、6億人と言われる農民のインターネット通販の利用を後押ししているようだ。

2.一獲千金を夢見て

 11月11日は“独身の日”、中国インターネット通販最大のセールイベントが開催されている。「巨龍中国~14億人の消費革命~」では、二組の若き企業家が紹介されていた。一人はTシャツ製造業、もう一人は財布などの雑貨製造業を営んでいる若者だ。アリババのジャック・マー氏が憧れで、成功による一獲千金を夢見ている。中国は大学を多く設立したため、昨今では大卒の3人に1人が就職できないと言われており、中国政府もそれらの若者も含めインターネット通販による起業を促している。いわば雇用の受け皿であり、265万人の人がインターネット通販事業に携わっていると聞く。

3.夢と勘に頼ったビジネス

 筆者も、わが国の大手カタログ通販会社に商品を販売した経験がある。通販会社の数多くある販売商品の中で、売れるか売れないかは事前に把握することが難しく、通販会社との商売は“バクチ的”な面がある。売れない場合には多数の在庫を抱えることになり、資金繰り面でも大きな影響がでる。また、売れ残った商品は“バッタ屋”と言われる商品処分会社に転売せざるを得ないが、「半値、八掛け、5割引」といった大幅な値引きによる処分損が発生する。

 損失を最小限にするため、わが国の通販ビジネスにおいては、科学的に過去に蓄積された販売データや、商品、流行の分析を綿密に行い、発注数量を決定している。しかし、今回のテレビに出てきた二組の企業家は、「このくらい売れるだろう(このくらい売りたい)」、「普段の5ヶ月分は売れると思う」という観点で商品手配をしていたのが気になった。

 もちろん、中国でもデータ分析を慎重に行い、発注数を決めている企業も多数あるとは思う。しかし、若者のインターネット通販での起業を促すあまり、「夢と勘によるビジネス」を行い、経済的に痛手を受けたり、破綻したりする若者が多数出ているのでないかと、ふと気になった一日であった。(執筆者:日本経営管理教育協会・三好康司)(写真は日本経営管理教育協会が提供。2011年上海アップル店開店時)