中国では、昨年「匠の精神」という言葉がブームとなり、製造業の新たな成長のキーワードとして盛んに提起された。今年に入ってもその勢いは衰えていないようで、最近では製造業以外の分野でも「匠の精神」を学べとする言論が目立つようになってきた。

 中国メディア・人民日報海外版は15日、「観光製品づくりにも『匠の精神』が必要だ」とする評論記事を掲載した。記事は、大衆が旅行を楽しむ時代において観光市場には絶えず変化が起きていると紹介。その中でどうやって多くの国内外の観光客を呼び込んだらよいかと問題を提起した。

 そして、筆者は「スイスの腕時計メーカーの、各部品、各工程そして製品1個1個に対する細かいデザイン、心を込めたモノづくりの態度を学び、『匠の精神』広め、品質向上のために工夫をするといい」とし、「中国の観光業界は『匠の精神』を備えて初めて粗放から精緻へと変化することができるのだ」と論じた。

 さらに、観光業における「匠の精神」とは「サービスと細やかさ」、「プロ意識と仕事への厳しさ」、「個性とイノベーション」であると説明。人に優しいサービスのために細かい部分に注意を払うこと、誰に対しても同じ説明を繰り返すのではなく相手によって柔軟に対応する姿勢、そして、テーマパーク開発では単なる模倣で目先の利益ばかりを追わないことなど具体的な内容を示している。

 「匠の精神」は実に聞こえがよく、スローガンや標語としてはうってつけの言葉である。しかし、言葉の中に含まれているものが十分に説明され、理解されたうえで広まらなければたちまち形骸化してしまう。観光業を含むこれまでの中国のサービス業に欠けていたものは、「どうしたら客に満足してもらえるか」という思考に他ならない。「匠の精神」、「ブランド化」といった「美辞麗句」に惑わされず、まずは客が満足するサービスを考え、実践していくところから始めるべきだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)tasch8790/123RF)