近ごろ、地方自治体がユニークなPR動画をユーチューブ(YouTube)などの動画サイト上で発表し、注目や人気を集めるケースが増えている。中国メディア・界面は9日、日本で起きていこの現象について紹介するとともに、その背景にある地方自治体の苦悩について説明する記事を掲載した。

 記事は、大分県が2015年に、温泉でシンクロナイズドスイミングをする「シンフロ」をテーマとするユニークな宣伝動画を制作、発表したと紹介。奇抜な動画が多くのファンを獲得し、翌年には作品第2弾として「シンフロ」に青春を捧げる少女たちを描いた「ゆけ、シンフロ部」を発表したと伝えた。また、同県にある別府市も「温泉遊園地」のPR動画を制作、公開からわずか3日ほどで再生回数が100万回を突破したと説明した。

 さらに、鹿児島県でも志布志市が特産のうなぎを「うな子」として美少女に擬人化、プールを養殖場に見立てて「うな子」を養い、最終的に「うな子」が蒲焼になるという奇抜な宣伝動画を発表したことも紹介している。

 そのうえで、地方自治体がこぞってこのような宣伝動画を発表する背景について分析。「決して楽しく愉快な話ではないのである」とし、動画制作のきっかけが決して観光客の呼び込みにあったわけでなく「故郷を離れて東京に出てしまう日本の若者」をターゲットにしていたと説明した。

 東京への一極集中が激化する一方で、若者の流出が食い止められない地方は大きな危機を迎えることになったと紹介。そこで安倍晋三政権が14年に地方創生の概念を打ち出し、5年以内に地方における若い労働力を増やし、出生率や転入率を大きく高めることが掲げられたとした。この流れから、各地方でも若者を呼び込む、あるいは故郷に呼び戻すためのPRが盛んに行われるようになったとしている。

 記事は、地方自治体による宣伝予算には限度があるため、それぞれがユニークなアイデアを絞りだして勝負する努力をしているとする一方、「これらの努力の成果は、地方自治体の当初の希望からは、なおもかけ離れている」と説明。「東京には希望が満ちている。若者を故郷に戻すのは、短い時間ではほぼ成し得ないことだ」とした。

 中国でも、農村から都市部への人口流動が社会問題化しており、北京市などの大都市では人口の抑制目標が設定されている。大都会で膨張した人口の受け皿は地方の中小都市となるが、魅力が不足していれば当然ながら快く移住する人などいないだろう。日本の地方自治体による宣伝手法は、中国の地方に点在する小都市にとって活性化に向けたヒントの1つになるかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)bloomua/123RF)