日本経営管理教育協会が見る中国 第443回--大森啓司

■東京で流行る「空中族」 中国では「ねずみ族」

 東京オリンピックを4年後に控えた日本、ようやく競技会場の問題もひと段落、これからいよいよインフラの整備が開始される。鉄道網や宿泊施設ラッシュマンション建設と、過去2度の苦いバブルの経験を繰り返さないように意識はするものの、東京都内特に東京23区の地価は高騰傾向にある。

 そんな中で都内では、空中族が増えている。これは、マンションを転売しながら資産を増やし、より高い階層に移り住む人たちの事を指している。

 最初購入したマンションは下町蒲田の6階、その次は交通の拠点品川の12階、そして次は東京タワーが近くに見える浜松町の25階といった転居のスタイルだ。

 先日、中国のある友人とこんな話をしていたら、日本はまだまだ甘いとの指摘を受けた。今日は中国における空中族ならぬ、資産ブームについて洞察してみたい。

■マンション購入を自慢する中国人と現実

 「海南島のマンションに保養に行ってきます」「ここでマンションを2つ買いました」私の中国の友人からのメッセージです。中国では親しくなるとよく聞かれる自慢話、複数のマンションを持つのは政府や国有企業関係者に多いようである。福利厚生の名目で有利にマンションを購入できるようである。一つ購入できれば、それを担保にして次の融資を受ける。売却すれば多額の資金が残る。日本でも懐かしい、今中国ではバブルが起きている。

 中国では、1所帯が2つ目、3つ目のマンションを購入する際には頭金の割合が引きあげられる。そのために偽装離婚が増えているのはいかにも中国らしいと言わざるをえない。

 加えて中国のマンション所有には土地が含まれていない。中国は個人が土地を有するというルールが存在しない。土地は国家の所有物であり、マンション購入者は購入時に政府に土地の使用権を支払う。この制度は、日本の定期借地権と同じだ。という事は、マンションは資産と見なされないので固定資産税はない。日本では考えられないが、これが中国における格差をさらに広げている原因になっている。

 そして、日本の空中族ならぬ北京では「ネズミ族」という言葉があると聞いた。家を持てない貧しい人たちが、賃料の安い建物の地下室に暮らしている。住民の多くは出稼ぎ労働者のようだ。資産の持つ人は次々に資産を増やし、貧しいものは低賃金で苦しみ、ねずみ族と呼ばれるそうだ。

■ジニ係数から見た、格差社会の差

 イタリアの統計学者によって考案された社会における不平等さを図る指標に、ジニ係数がある。詳細はさておき、0.4を超えると社会が不安定になるとい言われている。日本は数値が上昇傾向にあるが、それでも0.3台、中国国家統計局によると中国は0.462、外郭の研究機関が発表する数字はもっと高いようであす。日本にはネズミ族という表現はないが、格差社会が日本以上に起きているのは間違いない。

 日本は空中、中国はネズミ、同じ格差社会の表現でもこの方向性の違いはお国柄だけでは済まされない。(執筆者:日本経営管理教育協会・大森啓司)(写真は日本経営管理教育協会が提供。厦門の高層マンション)