今年に入って、中国のメディアやネット上で見ない日はないというほど頻繁に用いられている言葉の1つが「工匠精神」(匠の精神)だ。中国の製造業が身に着けるべきこの精神のお手本と称されているのが、日本の「モノづくり」だが、中国メディア・第一財経は25日、日本の学者が「匠の精神は中国由来のものである」と説明したことを伝える記事を掲載した。

 記事は、日本の長寿企業研究者である日本経済大学経営学部長の後藤俊夫氏による「匠の精神」の解釈について紹介。「匠の精神」とは、自らの事業に専念し、顧客に良い製品やサービスを提供することであると同時に、「最も大事なことは、社会にのために然るべき貢献をすることである」としたことを伝えた。

 また、日本ではこの精神が製造業以外にもサービスや流通といった業界にまで浸透していること、経営者のみならず、一般の従業員までがこの精神を大切にしていることを説明。日本の長寿企業は、上下で共通の価値観を持ち、顧客に最高のものを提供するのみならず、時として自らの利益を犠牲にすることさ惜しまないという共通点を持っているとの見方を紹介した。

 さらに、日本の長寿企業に存在する強い家族意識は、中国から日本に伝わった仏教、儒教と日本古来の神道という3つの宗教と密接に関わっているとし、「言い換えれば日本の『匠の精神』は中国に源があるのだ」と後藤氏が語ったことを伝えた。そして、日本が「長寿企業大国」になれたのは、1400年あまり前に中国の古代思想を真剣に学び、実践してきたからであるとし、「日中両国は隣国どうしであり、今後引き続き相互学習していく必要がある」と後藤氏が論じたとしている。

 古代の中国では様々な優れた技術や文化が生まれ、日本をはじめとするアジア地域に多大な影響力を与えてきた。その頃の中国大陸には確かに「匠の精神」が息づいていたのだろう。それが現代になってどうして廃れてしまい、他人を参考にしてその精神を取り戻さなければならない羽目になってしまったのか。よくよく反省しなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)