製造業の生産拠点を米国に回帰させることによって米国の雇用問題の解決を図ろうとするトランプ次期大統領だが、中国メディアの今日頭条が16日付で掲載した記事は、こうした取り組みは決して米国の雇用問題を解決しないと論じている。

 記事は、トランプ次期大統領が選挙運動中に4兆4000億ドル(約518兆円)規模の減税計画について言明し、企業の法人税を35%から15%にまで引き下げること、また海外利益を米国に還流させる際の税率を1度に限り10%に引き下げることなどを提案し、米国企業はもちろん、世界各国の企業をも米国に引き寄せ、米国人の雇用問題を解決することを公言したと説明。

 しかし、こうした取り組みは決して米国の雇用問題の解決策とはならないと主張し、その論拠の1つとして、米国が多くの製造業を回帰させたとしても、今後は製造業の現場では多くの作業をロボットが担うようになるために、決して雇用の増加にはつながらないと論じた。

 また記事は、1980年から2015年までの米国における生産能力と雇用の関係を示したグラフを紹介。グラフは1980年の生産能力を1としたときの2015年の生産能力は約2.5倍となっているが、雇用は15年には1980年の約70%の水準にまで減少していることを示している。

 さらに、13年から15年の期間における米国の資本流出は16.26%も減少したのに対し、資本流入は183.97%も上昇したが、「雇用率は決して上昇していない」と指摘。トランプ次期大統領が製造業の生産拠点を米国に回帰させることによって米国の雇用問題の解決を図ろうとしても、結局は「無駄骨」に終わるはずと主張した。

 中国側にしてみれば、メーカーが生産拠点を米国に移すことは中国人の雇用喪失につながりかねないことだ。トランプ次期大統領は米アップルにも米国内で製品を生産するよう呼びかけているが、iPhoneの組み立ては中国国内で行われており、仮に現実のものとなれば多くの中国人が路頭に迷うことになるだろう。記事がトランプ次期大統領による製造業回帰は功を奏さないと主張するのは、中国の雇用を守るという背景が関係しているとみられる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Bartlomiej Magierowski/123RF.COM)