平均寿命が80歳を超えると同時に少子高齢化が進み、労働力の不足が懸念されている日本では、定年退職したシニア世代が活躍する機会が増えている。一方で、定年退職前のポジションや責任を与えられないことから仕事に対する退屈さを感じ、「生きがい」を求めて中国の企業に飛び込むシニアも少なくないようだ。

 中国メディア・環球時報は19日、日本企業を定年退職後に中国企業でバリバリ働く日本の「エリートシニア」について紹介する記事を掲載した。記事は、現在60歳で定年退職を迎える人たちは、若いころに経済の黄金期を経験し、海外での研修や赴任の経験も豊富であり、なおかつ約40年にわたって業務に従事してきたいわゆる「エリート層」が多いと説明。その「エリート層」が中国に渡って活躍している事例を2つ紹介している。

 1人目は、鹿島建設で長年勤めあげ、1980年代から90年代にかけて米国駐在経験を持つ67歳の男性だ。記事は、この男性が09年に60歳の定年を迎えた際、引き続き会社に残る選択をしたものの「責任を負う仕事がどんどん減り、つまらなくなってしまった」と紹介。2年後、ネット上でたまたま見つけた中国企業の求人に目が留まり、「英語が話せればOK」との条件だったことから転職を決意、現在広東省深セン市の設計企業で建築設計部長と営業部長を兼任しているとした。

 そして、中国では日本と異なり、時として融通をきかせる必要がある点には苦労しているものの、退職前と同じ業務に加え、日本企業への対応やマナーを含めた若手の育成など、充実した仕事生活を送っていると伝えた。

 2人目は、日立製作所でソフトウェア開発に従事、06年に定年退職した71歳の男性だ。記事は、定年退職の際にある中国のソフトウェア会社社長から「日本市場拡大を手伝ってほしい」と熱烈にスカウトされ、翌年に中国へ渡ったこと、3年後には遼寧省大連市のデジタル関連企業に移籍し、現在同社の顧問として日本市場進出戦略の策定、中国人社員への日本語やビジネスマナー教育と忙しい日々を過ごしているとした。

 また、この男性が「中国に来る前、妻に1-2年で帰ると告げた。まさか10年近くも居続けるとは思わなかった」と笑いながら語るとともに、「もう中国人、日本人というものはなくて、みんな親しい人という感覚だ」、「同じ仕事での給料は日本の半分。でも中国はもはや第2の故郷。もう何年かここにいたい」と話したことを併せて伝えている。

 記事が紹介した中国移籍組の2人は、厚いシニア層のごく1部に過ぎない。ただ、彼らのように給料の多寡ではなく「やりがいのある仕事を続けたい」という熱意を持っているシニアは少なくないはずだ。間違いなくシニア層の活躍が必要とされるこれからの時代、有力で貴重な若手を育成しつつ熱意あるシニアに思う存分働いてもらえる人事体制作りが、日本の企業にますます求められているようだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)